シーン6〜7
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が間に合わず…」
(急ブレーキの音、大勢の悲鳴、衝突音、最後に大きな爆発音)
制服の男「寝不足とストレスで過呼吸の発作を起こしたんだろう…。
あの事故は会社にはなんの責任もない。悪いのはすべてこの私なんだ…、
すまない… ほんとうにすまない…。どうか… どうか許してくれぇ…」
男は封筒を春香に手渡すと、泣きながら部屋を出て行く。 春香、男の後を追うが見失い部屋に戻ってくる。
しばらく呆然としているが、ふと我に返り、封筒からCDを取り出す。
CDをPCのスロットルに挿入する。すると、そのCDに録画されたニュース番組が流れ出す。
アナウンサーの声「高速バス転落事故で最後まで意識不明の重体だった島田春香さんが今朝未明に亡く なりました。これで、バスの乗客乗員35名全員が死亡という痛ましい結果となりま した。バス会社の社長の会見が間もなく始まる模様です。」
中継に切り替わり、フラッシュがたかれる中、バス会社の社長が深々と頭を下げる様子が流れる。 春香の横に、いつの間にか正木が立っている。稲妻と雷鳴が轟く。
春香「私が、あのバスに? そんな… うそよ… うそ… ありえない…。」
が、その時、春香は事故の瞬間の出来事をはっきりと思い出す。
(急ブレーキの音、大勢の悲鳴、衝突音と爆発音、
春香、ショックのあまり、膝から崩れ落ち、うずくまる。
すると、正木が優しく語り始める。
正木「目が見えなくなった頃から、私には不思議な力が身に付きました。
亡くなられた方たちの声が聞こえるようになったのです。 その中にはご自分が亡くなってらっしゃることに全く気づいてない方も
大勢いらっしゃいます。」
春香「どうして… どうしてすぐに教えてくださらなかったんですか。」
正木「私が教えるまでもなく、すでにあなたにはお迎えの方がみえてるはずですよ、島田さん。」
背後でコートの男がスポットライトに浮かぶ。
(男の声)『島田、お前の作文がコンクールで金賞をとったぞ。』
(女児の声)『ほんと?』
(男の声)『ああ、おめでとう。お前には文才があるようだな。将来は作家にでもなったらどうだ。
先生も応援してやるぞ。』
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