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天使の箱庭
シーン6〜7
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隠すために乗客たちを見張ってたんじゃないのか。」                                             
制服の男「違います! 私はただ…」
     
前原「あれ、この顔、どっかで見たことあるぞ。」
      
 林「前原さんもそう思った? 私もよ… どこで見たんだっけ…、ええと…。」
     
水原「ああ、この人、あの時のバスの運転手ですよ! 事故を起こした…」
     
野口「ええ? なんだって?」
         
制服の男、みんなに睨まれながら、徐々に部屋の中央へと追いやられ、囲まれていく。
   
制服の男「すまない… 本当にすまない…」
        
男は頭を抱えて泣きながら詫びる。だが、急に向きを変えると、
周りの人間を突き飛ばしながら部屋を飛び出していく。
     
野口「おい、待て!!」
         
野口と患者たちが後を追って出ていく。ジャージの女と夫婦も一緒に出て行く。          春香も出て行こうとするが、ふと猫の泣き声に気づき足が止まる。 
        
雨の音。だんだん雨音が大きくなっていく。稲妻が光り、雷鳴が轟く。         
部屋が暗くなり、また猫の鳴き声が聞こえてくる。その声がだんだん大きくなる。
耳をふさぎ怯える春香。だが、勇気を振り絞り声のする方へ近寄る。
部屋からそっと廊下を覗く。猫の甘えるような声が響く。
春香、怖くなり壁に身を隠す。だがもう一度外を覗く。猫の鳴き声は止まない。
     
春香「なんでこんなところに猫がいるの?                         
   やだ、ずぶ濡れじゃない、可哀想に。どうしたの? どこから入ってきたの? おいで。」
         
屈んで猫を手招きする春香。しかし、そこでまた大きな雷鳴が響く。
身を縮める春香。廊下を見ると猫はもういない。             
     
春香「あら、いなくなっちゃった。」
         
その時、制服の男が静かに部屋に入ってくる。春香、驚いて身構える。
しかし、男はうなだれた様子で語り始める。
   
制服の男「精神的に参ってたんだ。離婚調停中で…、女房のせいでストレスがたまって…。
     私は別れたくなかった。なのに… 考えると辛くて…。
     毎日、女房の弁護士が手紙や電話をよこしては脅しをかける。私が何をした!           息子を愛しているし妻のことも…                          
     あの日、事故の直前、運転していると急に手がしびれだして、息ができなくなった…         目の前が真っ暗になりブレーキをかけた
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