シーン6〜7
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春香「あ、私、雑誌の記者をしておりまして。
実は、病院のご協力で、今回のバス事故に遭った乗客の取材をしております。」
夫「そうですか。ご両親も立派に仕事をされてるあなたを見て、さぞや
喜んでらっしゃることでしょう。」
妻「そうね…ホントに…。でも、少し働き過ぎなんじゃないかしら… なんだかお疲れのようだわ。
あんまり無理はなさらないでね。」
春香「ご心配なく。これでもタフなんでよ。」
妻「そう。・・・ここはなんだか少し寒いわね。」
夫、着ていた上着を脱ぎ、妻の肩にかけてやる。
春香「お二人とも、仲がおよろしいんですね。」
妻「うふふ、私が体が弱いものだから、どこへ行くにもこの人が着いてきてくれるんです。」
春香「お優しいんですね、ご主人。」
妻「うふふ、若い頃、旅先の神社でお賽銭の小銭がなくて困ってると、そばにいた男の人が
『使ってください』って小銭を渡してくれたんです。その後、『写真を撮りましょうか、送るか ら住所を教えてください。』って。それが私たちのなれ初め、うふふ。 今思うと、あれはナンパだったのかしらねぇ。」
妻に覗き込まれ照れる夫。
夫「もうそれくらいにしときなさい、恥ずかしい…。
(春香に)お仕事のお邪魔をしてすみませんでしたね。」
夫婦、春香から少し離れたところで席に着く。
春香、またパソコンを打ち始める。
ジャージの女が再びやってきて、夫婦の傍に座る。
3人でなにやらひそひそ話をしながら、時々春香に目をやる。
やがてカウンセリングの患者たちが部屋に集まりだす。
林「真壁さん、やっほ。」
真壁「どうも…」
林「元気?」
真壁「……」
林「んなわけないか。はぁ〜あ、私もさあ、なんかあの事故以来、気分がふわふわしてて、
寝てんだか起きてんだかはっきりしないの。食欲も全然わかないしさ。
やっぱりこれってPTSDってやつかなぁ。」
真壁「いっつもこうなの…」
林「え? なんか言った?」
真壁「私の人生って、いっつもこう…。小さい頃はいじめられっ
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