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天使の箱庭
シーン3
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まれない気持ちでいっぱいになりました。」
 
野口「そっかぁ。気配りも行き過ぎると台無しってわけですね。」
 
水原「独りよがりはいけません。でも気配りは自分のためでもあると思って、
   私は気配りを楽しむようにしています。相手の居心地の良さは自分自身の
   居心地の良さでもありますから。」        
 
野口「なるほどね。僕みたいなガサツな人間には到底勤まりそうにないお仕事だな。
   水原さんは優秀な方のようだから、時期がくれば、またすぐにお呼びがかかりますよ。
   ええと、林さんもお仕事されてましたよね。」

林と呼ばれた女性が、顔の前でいえいえと手を振る。

 林「仕事っていっても自宅でね。」

野口「どんなお仕事ですか。」

野口「DTPってご存知ですか?」

野口「ああ、聞いたことありますねぇ。」

 林「デスクトップパブリッシング、簡単に言うとパソコンで印刷物のデザインや
  レイアウトをする仕事です。」

野口「印刷物のデザインて、なんだか面白そうな仕事ですよね。」

 林「ええ、やり始めると夢中になって時間を忘れることもあります。
   でも、写真や記事の多い紙面はレイアウトが大変なんですよ。
   全体のバランスを見ながら、限られたスペース内にうまく収めないといけないでしょう。      でもね、この仕事を始めてひとつだけ、いいことがありました。
   レイアウトのコツをつかんだのか、押し入れの整理整頓やお弁当の詰め方なんかが
   上手くなったような気がするんです。」
 
野口「へぇ。そのコツってやつを是非僕にも伝授してほしいですね。」
 
 林「まあ、コツってほどでもないんですが… 一種のパズルみたいなものですね。」
 
野口「パズルかぁ、それはいいヒントになりそうだ。」

野口がカルテに目を落とし

野口「ええと、林さん、この間、あんまり眠れてないみたいなこと言ってましたけど、
   その後いかがですか?」

 林「それが… あんまり…」

野口「そうですか。まあ、あれだけの事故の後ですからねぇ。」

 林「ええ。でも事故の事、実はあんまりよく覚えてないです。座席で居眠りしていたら
   急ブレーキがかかってものすごい衝撃があったのは覚えてますけど… 
   その後の事が全然思い出せないんです。」

野口「怪我のほうは?」

 林「それが… 意外にたいしたことがなくて…。すぐにベッドから起き上がることもできました。
   だからでしょうか、自分があんな大事故に遭ったなんて、いまだに信じられなくて… 」

野口「現実味がない?」
 
 林「ええ、そうなんです。」 

すると前原が口を挟む。

前原「
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