危険信号と選択
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貴方は・・・精霊?」
「・・・」
この一室が、まるで隙間という隙間からどんよりとした空気を流しこまれたように重くなる。
「答えて」
喋ろうとしない狐珀に、念押しをするように折紙が喋る。しかし、狐珀は喋ろうとしない。
「私は今日、空間震が起こったあの場所にいた。その時、精霊と会って、話しかけられた。貴方に」
ふと、狐珀の脳の中に焼きついた、あの無表情な顔がよみがえる。
「・・・」
「最後に聞こえた叫び声は絶対に、貴方の声」
「・・・どこで調べた?」
明らかに先程よりも数トーン下げた声が、少しの怒りを生み出し、聞く。
「それに答える義務はない」
「・・・そうだったね」
「朝比奈狐珀、答えて」
「・・・そうだ・・・と言ったらどうする?」
「ただちに連絡を入れ、AST全員でこの家ごと貴方を消滅させる」
「・・・出来ると思ってるのか?」
その場に烏のような黒い羽根を残し、狐珀は瞬間移動のようにあり得ない速度で地面に座っていた折紙の目の前に現れ、カッと目を見開き、ニタァと笑う。
「出来る。そして、今、貴方を精霊と判断した」
「・・・」
携帯を取り出そうとした折紙の頭を、爪を立てた狐珀の手が覆う。と、次の瞬間、まるで糸の切れた操り人形のように地面に崩れ落ち、携帯を地面に落とした。
「・・・通話中だったか」
落ちた携帯を見るなり、すぐさま電話を切り、手の平に持っていた水晶のように透明なガラスを見る。それは、シャボン玉のように換気の為に開けていた窓から入る風で軽く動く。
「・・・お返し。少し変えたけど」
シャボン玉の中に手を突っ込むと、グチャグチャと気持ち悪い音を立てながら中をかき回してから、折紙の頭の中にシャボン玉を入れる。
すると、折紙はパチクリと目を開き、未だ力の入らないであろう足を、なんとかして動かし、座ってから狐珀を見る。
「何で・・・ここに?」
「食べた後、いきなり倒れたから一番静かな場所に置いてた」
相変わらず何もない声でその人生を左右しかねない嘘がバレることはなく、折紙はそう、と言う。
「うぅ・・・」
頭痛か、頭を抑え、軽く唸る。
「ここで安静にしてて。暇だったらパソコンでも何でも使っていい」
正直言って、変なことを言ったが、別にこの部屋に精霊とバレるものは絶対にない。
「ごめんなさい」
「大丈夫。数分は痛いだろうから」
そう言うと、部屋の電気を付け、扉を閉める。
一つ溜息をつくと、偶然にも気になったのか、上る士道と鉢合わせした。
「あれ?鳶一は?」
「あれから倒れて、今寝てる。邪魔しないように」
「そ、そうか・・・」
鳶一にそんな持病があるなんて、聞いたこともない士道は、狐珀の無表情さに少し疑問を持ったが、寝ているのであれば、邪魔しないのが男というもの。今上って来た階段を下りて行
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