危険信号と選択
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ボクのでいい?」
「うむ」
女子の服を健全な、男子高校生が持っている筈もなく、自室に戻って行く。
「確か・・・」
小さい頃着ていた服がまだ残っていた筈。押し入れの棚を次々と開けていき、ようやく見つけ、再び頭に乗せると、今度はわざと横にぐらぐら揺らしながら階段を下りていく。
「十香〜。あげる〜」
近くにいようといまいとお構いなしに扉を開けると、頭に乗せた服を、手で持ち、思いっきり投げると、すぐさま、落ちた場所も確認せず、扉を閉める。
「ご飯ご飯ーるるるらー」
台本を棒読みしたような鼻歌を歌いながら、リビングへと入って行く。皆が番組に釘付けになっている中、ふらふらと歩き、リビングまで辿りつく。レンジの残り時間を確認し、大きなあくびを一つする。
「キツネ〜後何分〜?」
白リボンの妹モードの琴里が顔をキッチンからテレビを見ている狐珀に向ける。
「どっちにしろ十香帰ってこないと食べませーん」
そう言うと、ぶーと頬を膨らまし、テレビに顔を向けた。
と、同時に、リビングの入り口から、頭にバスタオルをかけ、腰まであろうかという夜色の髪を少し濡らした十香がやってくる。先程渡した男服を着て。
「お〜全員揃った〜」
そう言うと、それを予期したようにレンジがチンという音を立てる。
手に鍋用の手袋をはめ、高熱の大皿を取り出す。所々焦げ目のついたとろっとろのチーズ、そして、その下に隠れたホワイトソース、吸っているだけでもお腹がいっぱいになりそうな程の香り。作った本人がいうのもなんだが、これは相当美味いだろう。
「士道ちょっとどいて」
「ん?あ、おう」
テレビから目線を反らし、後ろに垂直で立っている狐珀を見、足をどかす。
「はい皆さま、特別カレードリアの出来あがりです」
気力のない声と同時に、タオルの上に置かれた白い大皿をテーブルに乗せる。
白いソファから見下ろすだけで、十香はジュルリ・・・とよだれを垂らす。
「・・・じゃぁ十香、手伝って」
「ぬ?何故だ?」
「取り皿と、スプーン。手伝わないと十香だげご飯抜き」
それだけ言うと、驚愕した顔をし、誰かに盗られるのでは・・・とでも思っているのか、1秒ばかしそこから離れなかったが、誰も盗らない、と士道が言うと、十香は士道の前を通り、狐珀の隣へ行く。
「それで、何から手伝えばよいのだ?」
「じゃぁ、あの皿持ってって、あと出来れば配って」
狐珀がご飯茶碗のようなものを指差すと、十香はすぐ分かった、と言い、五つ全てをタワーみたいに乗せ、女子ならではなのであろうバランス感覚で机に置くと、言われた通りに皆の前へ並べる。
「キツネはどこに座るのだ?」
「あ〜・・・適当で」
そう言うと、十香は誰も座ってない場所に皿を置き、またスタスタと小走りで狐珀の隣へ向かう。
「他はないか?」
「・・・じ
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