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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十二話 それぞれの思惑(その3)
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彼も出席して主賓の挨拶が終わるとさっさと帰ってしまう。亡命者っていうのは敬遠されるからつまらないんだろう。それでも俺やリューネブルクがこの種のパーティに出る理由は皇帝が臨席するからだ。出ないと不敬罪とか言われかねない。おかげで俺はいつも寂しく料理を食べて適当に帰る。今日もそのパターンだな。さっさと始まって欲しいもんだ。
「ヴァレンシュタイン中将」
「これは、元帥閣下」
後ろから名を呼ばれた事に驚いて振り向くと、ミュッケンベルガー元帥がいた。大柄な元帥に隠れるように若い女性が後ろに立っている。娘か、姪か、娘にしては若いような気がする、姪かな。
「一人かな、中将」
「はい」
「ちょうどよい。娘の相手をしばらくしてくれんか」
「は?」
娘? 相手?
「ユスティーナ、ヴァレンシュタイン中将がお相手してくれるそうだ。若いもの同士、楽しむと良い。では中将、後を頼む」
そういうと元帥はさっさと離れていった。ちょっと待て、若い女の相手なんてここ二十年ほどしてないんだから無理だ。だいたい奇襲攻撃は酷いだろう。俺は味方だぞ。味方だよな、多分……。
帝国暦486年 5月
ラインハルト・フォン・ミューゼル中将、アスターテ会戦の勝利に功あり。大将へ昇進。
エーリッヒ・ヴァレンシュタイン少将、皇帝不予に乗じたオッペンハイマー伯の陰謀を未然に防いだ功により、中将へ昇進。
エーリッヒ・ヴァレンシュタイン中将、兵站統括部第三局局長補佐を命じられる。
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