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トンデケ
第二話 過失
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は、お一人で?」

「ええ。」

「圷さん、有名な絵本作家だそうですね。」

「ええ、まあ。」

「うちのカミさんがね、あなたの絵本持ってましたよ。読んでやると息子が
 すぐに寝付くって喜んでました。」

『うちのカミさん』ですって。刑事コロンボのやり口じゃない。
 百香は横を向いてくすっと笑い、カップに沸きたての湯を注いだ。
 茶の色目を見ながら、ティーバッグを軽くゆすり、引き出しからスープン
 とスティックシュガーを取り出す。
 カチャカチャと忙しないキッチンの様子に、

「あのう、ほんと、お構いなく。」

「どうぞ、気ぃつかわんでくださいね。」

 刑事たちがすまなそうに声をかける。

「あ、いえ、ティーバッグの紅茶しかなくって。」
 
 言いながら、百香は熱々の紅茶を乗せたトレーを慎重にリビングへと運
 んだ。

「どうぞ。熱いので気をつけてくださいね。」

「こりゃどうも。それじゃ、失礼して、いただきます。」

 二人の刑事は、揃ってカップの握りに指をかけた。そこからは、まるで
 シンクロだった。顎を突き出し、口からカップを迎えると、ふうふう冷ま
 しながら、ずずずず〜、ずずずず〜と下品な音を立ててふた口啜った。
 百香は一人用のソファに静かに腰掛けて、胸に手を当てる。
 冷静さを装いながら、頭では必死に記憶を整理していた。

「おでこの傷、どうされました?」

「え?」

 ここ、ここ、と刑事が自らのおでこを指す。

「ああ、これ。ちょっと外で転んで…」

 不意を突かれ、ぽっと口を衝いた出まかせ。

「そう・・ですか。ところで、スマホの件なんですがぁ・・・」

「辰郎に、彼に奪われたんです。」

「というと?」

「あの、実は、四日前の夕方、彼が私に会いに来たんです。」

「事故の日ですね? どこで会ったんです? 時間は?」
 
 百香は、ショッピングモールの二階にあるスタジオでラジオの収録をして
 いたこと、収録が終わり五時半にスタジオを後にしたこと、その数分後に
 彼と屋上で出くわし、スマホを強引に奪われたこと、そのショックで気を
 失ったため、その後の彼の行動は何もわからない、ということを、順を
 追って説明した。

「なるほど、それは怖い思いをされましたね。で、時間ですが、スタジオを
 出たのが五時半でしたね。スタジオから屋上の駐車場までは何分ぐらいか
 かりました?」

「うーん、五分ぐらいでしょうか…」

「では、お二人が会っていたのは五時三十五分前後、ということですね?」
 
 すると、メモをとっていたもう一人の刑事が口を挟んだ。

「ちょっと待ってくださいよ。眞鍋さんが事故に遭ったの
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