第二話 過失
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紛れもなく
百香のスマホであった。
「やはりそうですか。実はこれがね、事故現場に落ちていたんですよ。
それでちょっと、気になりまして。圷さん、あなた、ひょっとして事故現
場におられましたか?」
「いえ・・・。」言葉に詰まった。
「お二人のご関係、少し調べさせてもらいました。
以前、眞鍋さんからストーカー被害を受けておられたそうですね。」
「あの、よろしかったらちょっとぉ、中で詳しくお話を伺えませんかねぇ。」
二人の刑事に畳み掛けられ、拒否できる雰囲気にない。
やっかいなことになってしまった。とにかくここは、あの日の経緯を素直
に話した方が良さそうだ。
百香は意を決し、二人をリビングへ通した。
見知らぬ男たちがいきなり侵入してきた為、寝ていた摩周が飛び起きて、
テレビラックの裏へ素早く身を隠した。
「あの子、人見知りで。どうぞ、お掛けください。今、お茶を。」
「突然お邪魔して、すみませんねぇ。どうぞお構いなく。」
百香はテーブルのリモコンをかざして、観ていたテレビを消し、スタスタ
歩いてキッチンに立つと、ポットにジャーッと勢いよく水を入れた。
刑事たちは日当たりのいい窓辺から外を眺めながら、二人掛けのソファに
並んで座った。テレビラックの隙間から摩周がこっちを睨んで、緑色の彩
光を丸く光らせた。
「ネコちゃん、お名前は?」
「摩周といいます。」
「男の子ですか。」
「はい。」
「黒ネコちゃんかな? 種類はなんです? 」
「雑種です。」
「慣れたら出てきてくれるかな。うちも似たような野良が一匹おりましてね。」
「えっ、そうだったけ?」
そこからは、刑事同士の雑談が始まった。
「そうさ、一年前の雨の日に娘が、こんなちっちゃい黒猫拾ってきてさ。
それが体じゅうノミだらけで…、クシで一匹ずつ捕るのに苦労したよ。」
「ああ、それ、聞いたなぁ。おれんとこも犬がいるよ。」
「知ってるよ。前に写真見せてくれただろ。ほら、足の短い・・・、
なんてったっけ?」
「コーギー」
「そうだ、それそれ。今人気の犬種なんだってな。」
刑事さんたち、仲良さそう。でも、なんか不自然な気もするけど。
きっと間が持たないのね。
それとも、私を油断させようとしてるのかしら。
もんもんと思いを巡らせながら、百香はお茶の用意を急いだ。
電気ポットは沸くのが速い。ぐつぐつ煮えてるから、もう切れるだろう。
そこへまた、トーンの高い声が飛んできた。
「なかなか、眺めのいいお宅ですねぇ」
「ええ、でも、古い建物で。直し直し住んでるんですよ。」
「そうですか。ここに
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