四糸乃パペット
雨の中の宝石
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と金縛りみたいに逸らすことの出来なかったあの曲がり角から、ヤンキーと、ヤンキーの服を身に纏った狐珀が出て来る。ヤンキーが狐珀を肩車して。
そして、狐珀はベシベシとその髪のない頭を叩き、前方を指差す。
そのヤンキーはというと、叩かれる度に相当痛いのだろう、仕返しで持っていた足をこれまたベシベシと叩く。
「なにあの光景」
呆然とした士道の目で見えるその異様な光景を、脳が拒んでいるかのように全く頭に入らない。
そして、足を叩かれるのに怒ったのか、ついには手の平で叩いていたのを、チョップに変更させ、頭頂部を小指の付け根にある出っ張りで見事に攻撃する。
それに反撃するには足ではダメと分かったのか、ヤンキーは思いっきり狐珀を揺らす・・・が、全く落ちる気配がないどころか、そのチョップを止める気配さえない。
「すげぇへばりついてる」
そして、呆然と見て、ようやく分かった。狐珀が傘をチョップしていない方の手で持ち、上着はいつもの白T、そして、後ろにでっかく一つ、前の左右対称の場所に一つずつ、白い龍の描かれている黒い上着を着、少し緩いズボンをドクロがついているベルトで締めている。
どうやら、先程連行された?場所に辿りつくと、最後に一発、遠くから見ても分かる程振りあげた手刀を思いっきり振り下ろす。
見るだけで頭の頭頂部が痛くなり、ぎゅっと目を閉じる。
少し遠くに見えるヤンキーが叫ぶと、地面に前から倒れる。しかし狐珀は、崖から飛び降りてくるヒーローのように飛び、2度縦回転すると、見事に手を斜め上に上げ、新体操の終了みたいな状態で、一切動かない。その逆に、ヤンキーは地面でのたうちまわり、声にならない悲鳴を上げる。
かと思えば、先程のように遠くにいた狐珀は消え、目の前にずんと顔が現れる。
それを予知していた士道は狐珀の顔の丁度真ん中に手の横を喰らわした。
「痛い」
「だろうな」
全く痛そうにしない狐珀。
だら〜んとたれた狐珀の左手には、地面との摩擦で少し先端の擦れたビニール傘を持っていた。勿論、開いたとしても二人が精一杯であろうそのビニール傘は三人が入るには狭すぎる。
「傘、二人しか入れないよな?」
「はい」
それを聞いた狐珀は、心なしか少し楽しそうに、士道の目の前に先端と持ち手を持ち、傘を突き出す。
「・・・?」
「相合傘」
「・・・・・・」
それだけ言うと、狐珀はゆっくりと速度を上げ、最後にグッジョブマークを士道に見せると、何処に隠していたのか、ローブのような大きな透明のレインコートを羽織り、フードを被り、フードが取れないように手で抑えながら、周りから来た人の濡れた足跡で滑るかもしれない商店街を、人を避けながら先程轢かれかけた大通りへと出、未だ残っているであろう大型トラックの横を通り過ぎた。
そんな光景を見ながら、狐珀の一言に、士道
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