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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十一話 それぞれの思惑(その2)
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かけてきた。

「ヴァレンシュタイン少将、今まで軍務尚書と話していたのだが、これから帝国はどのようにすべきだと思うか、攻勢を取るべきか、それとも守勢を取るべきか」
なるほど、これが聞きたいと言う事か。

「攻勢を取るべきだと思います」
今度はエーレンベルクがミュッケンベルガーと眼を合わせてから問いかけてきた。
「その理由は」
「帝国で内乱が起きても、反乱軍が付け入る事が出来ぬまでに叩いておくべきかと考えます」

どうやら俺の考えは二人の考えと同じだったらしい。二人とも満足げだ。
「ヴァレンシュタイン少将、私は冬になる前に出兵するつもりだ。軍務尚書にも既に了承を得ている。今度こそ反乱軍を叩き潰す。勘違いするなよ、少将。これは宇宙艦隊の実力を確認するためではない。実力は今回の会戦である程度判った。今度は帝国の安全を守るための戦いだ。帝国に内乱が発生した場合、反乱軍に付け入る隙を与えてはならん。今回も出兵計画の立案には参加せよ」
「はっ」

「本来なら、卿にも遠征軍に加わって欲しいのだが、卿には万一のことを考えオーディンに残ってもらう。軍務尚書を助けてくれ」
「はっ」
「済まぬな、ヴァレンシュタイン。本来なら卿とて武勲を立てる場に出たかろう。それを労ばかり多くて報われる事の少ない仕事をさせている。済まぬ……」
思いがけない言葉だった。ミュッケンベルガーが俺に謝る? どうしたんだ一体?

「元帥閣下。小官は報われない仕事だとは思っておりません。理解してくれている方がいるのです。ならば、報われない仕事ではありません。どうか、お気遣いは御無用に願います」
「うむ」

ミュッケンベルガーは何処と無く面映そうだ。俺も柄にも無い事を言ったかと少し困っていると、エーレンベルクが話しかけてきた。
「ミュッケンベルガー元帥、少将の言うとおりだ。理解してくれている人間がいるのなら報われない仕事ではない。ヴァレンシュタイン少将、卿は今度中将に昇進する」
エーレンベルクは少し面白がっているようだ、眼が笑っている。

「昇進ですか、しかし小官は何の武勲も上げておりませんが」
「帝都の内乱の危機を防いだではないか」
「しかし」
俺が反論しようとするとエーレンベルクは眼から笑いを消して俺を諭した。

「これは必要な事なのだ、卿を少将のままにしておくと、馬鹿者どもが軍上層部は今回の卿の働きを評価していない、不満に思っているなどと勘違いしかねん。後々厄介な事になる」
「……」

「卿の役職は、兵站統括部で用意する。万一の場合には前回同様、帝都防衛司令部、憲兵隊を指揮することになるが、他に望みは有るか?」
エーレンベルクの問いに俺は迷わずに答えた。
「はい、装甲擲弾兵への指揮権もお願いします」
俺の答えにエーレンベルクがミュッ
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