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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第十話 俺と、私にできること 後編
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いといけない。

 何しろ時計の針は午後9時を指している。

 雪鳴を自宅まで送ってやらないと、この世界の管理局の人にご迷惑をかけてしまう。

 俺は金髪の少女に視線を変え、口を開く。

「話しの続きをしよう。 そして、先ほどの質問のいくつかを、また質問させてもらうよ」

 俺は彼女の返事を待たず、再度同じ質問に移る。

 先ほどよりは柔らかい口調で、なるべく聞こえやすいようにハッキリと。

 これ以上は彼女を追い込むつもりはないし、傷つけるつもりもない。

 と言うか、これ以上傷つけると隣にいる雪鳴に殺される気がしてならない。

「まずは……そうだな、君の名前を教えて欲しい」

「……」

 無言だった。

 先ほど、あれだけ彼女の真実を暴けば、諦めて全てを話すと思っていた。

 本当の執務官や捜査官は、きっと暴いて荒れている心に漬け込んだだろう。

 俺のように落ち着かせる時間なんて与えず、追い込んで追い込んで、もうだめだって所で質問しただろう。

(甘かったけど、後悔してないなんだよな……)

 雪鳴に任せたことを、後悔していない。

 落ち着いて、ちゃんと話しをしたいと思ったからだ。

 もちろん、答えたくないことは答えなくていい。

 そこは時間をかけてゆっくり聞けばいいから。

「それじゃ次の質問だけど――――」

「フェイト」

「え?」

 ポツリと。

 彼女の口から溢れるように、声を発した。

 反射的に雪鳴の方を向くと、彼女も聞こえていたようで無言で頷く。

 再び金髪の少女……フェイトに視線を向け、聞いた。

「君の名前は……フェイト?」

「うん。 フェイト・テスタロッサ」

 ハッキリと頷き、ハッキリと答えた。

 フェイト・テスタロッサ。

 それが、彼女の名前だった。

「フェイト……運命か。 綺麗な名前だな」

「え!?」

「ん?」

 突如、ドッキリでもされたかのような表情になったと思うと、顔を真っ赤に染めて両手で頬を抑え出す。

「な、なんだ?」

「い、いや……あの……き、綺麗って」

「う、うん。 綺麗な名前だって思った。 それに、最初に出会った時……ほら、街中で助けた時にも思ったんだ」

 忘れられない出会いだったから、覚えてる。

 つい先日、まだお互いにジュエルシードに関わる前に、一度街で出会っていたこと。

 あの時にも思っていた。

 ああ、なんて綺麗な子なんだろうって。

 細い身体から感じる、力強さ。

 柔らかさの中にある芯の硬さ。

 金の髪と澄んだ瞳は、素直に綺麗だと思っていた。

「あの時に、もっと話せればよかっ
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