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SAO−銀ノ月−
第百二話
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こそどうしたわけ?」

 しんみりと窓の外側を眺めていた姿が嘘のように、振り向いたリズは相変わらずの笑みをこちらに向けた。持ってきたジュースの瓶と空になったリズのカップを示すと、頷いたリズとともに、外の雪景色が見える席に座る。

「そういえば……あんたが手に入れたあのベルト、何だったの?」

「ああ」

 聖剣エクスキャリバーやその後の出来事に圧倒され、いまいちみんなや俺の記憶には残らなかったが。向こうでシウネーを口説いているクライン――結果は芳しくないようだ――が手に入れたハンマーは、鑑定するまでもなく使えないので、本人もあまり興味はなさそうだったが。

 俺が手に入れた黒いベルトは、一応《鑑定》スキルでもって効果を割り出していた。……とはいえ、俺が一からリズに説明するよりは、リズ本人に《鑑定》してもらった方が早いだろう。メニューを慣れた手つきで操作していくと、リズの机の前にゴトリという重い音とともに、漆黒の金属製のベルトが置かれていた。

「ふむふむ……一応伝説級武具なのね……」

 シリカが期待していたような色気のある話ではなく、まずは鍛冶屋としての職人魂が試され。現れた漆黒のベルトをまじまじと眺めながら、リズは俺より高い《鑑定》スキルを遺憾なく発揮する。最初は興味深げに隅々まで調べていたリズだったが、みるみるうちに表情が微妙なものになっていく。

「うーん……」

 そのベルトの名前は《メギンギョルズ》。帰り際にリーファとシノンから聞いた話だが、俺たちを助太刀してくれた《トール》には三つの武具があるらしく。一つはクラインが貰った、かの有名な雷の鎚《ミョルニル》であるが、あのトールと言えども簡単に《ミョルニル》を振ることは出来なかったらしい。

 それをトールの得物として補佐するのが、使い手にすら暴れまわる《ミョルニル》の雷撃を防ぎ、柄を握るための鉄の篭手《ヤールングレイプル》。そして極端に重い《ミョルニル》を振るうために、単純な力と神としての力を高めるベルトが、俺が手に入れたこの《メギンギョルズ》。

 ――つまり、この三つはセットであり。単体ではあくまで筋力アップに過ぎず、伝説級武具としては肩透かしをくらうこととなった。もちろん使えなくはないし、ステータス補助アイテムとしてはかなり優秀なのだが……使うにしても鉄の篭手《ヤールングレイプル》が足りないのと、キリトが手に入れた《聖剣エクスキャリバー》と比較してしまえば。

「……まあまあ、使えるんじゃないかしら」

 リズからも微妙な評価をいただいた。こちらに返却された《メギンギョルズ》を手に持ち、とりあえず腰に装備しておく。コートの下に着ていた和服を束ねる帯が、似つかわしくない金属製のベルトへと変わる。

「でもせっかくだから、ちょっとインゴット
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