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SAO−銀ノ月−
第百二話
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「お疲れ様」

 ようやく俺たち三人の視線に気づいたレインが、ハッとして決めポーズのようなものをとって見せていた。俺たち――いや、ルクスは心底励ましているようなので、俺とシリカ――の反応は冷ややかなものだったが、とりあえずあの動作でレインは今起きた出来事をなかったことにしたらしい。

「レインさん、もしかしてリアルは……」

「違うよ、外見通り!」

 言わなくていいことまで口走ってしまったようだったが、そこは触れてあげないことにする。レインも自分の失言には気づいたらしく、一度深呼吸して自らを落ち着かせていた。

「えーっと……そういう訳だから!」

 どういう訳かは分からないが、レインが言うにはそういう訳らしい。結局OSSやレイン自身のことは何も話してくれないらしく、仕方のない話ではあるが、少し距離感を感じてしまう。……そもそも、違和感がないほどにイジられて――もとい。馴染んでいるために忘れがちだが、レインと知り合ったのはここ数週間程度のことだ。なかなか腹を割っては話せないだろう。

「レ〜イ〜ンッ!」

「うひゃぁ!」

 ようやく平静を取り戻したレインだったが、後ろから忍び寄ってきたユウキに抱きつかれてしまい、今度はパーティー会場中に響き渡る奇声をあげた。ああして付き合っていくうちに、いつしか彼女自身のことも話してくれるだろう――などと考えていると、シリカに袖を引っ張られた。

「リズさん向こうにいますし、誰かと話し始める前に、お二人で過ごしたらどうですか?」

 ほら、ちょうど雪も降ってますし――と、シリカの言葉は続く。ニヤニヤと笑うシリカが指差す方向を見てみると、確かにリズが窓際で雪を見ていて。

「……余計なお世話だ」

 何を想像しているのか、少し朱に染まった頬を手で隠しているルクスを見てため息をつきながら、ジュースを飲んでいたカップを持って立ち上がる。ついでにもう片手にはジュースの瓶本体を持ち、「頑張ってくださいね〜」などと余計なお世話極まりないシリカから離れていく。

 レインにルクス、ユウキたちスリーピング・ナイツ。まだまだ分からないこともあるメンバーも多いが、ネットゲームの距離感というのはこんなものだろうか。まるで本当の現実のように過ごしてきた、あの浮遊城での二年間とは違って……

「ふぅ……」

 少しため息をついて自嘲する。改めて考えてみれば、本当の顔と名前も分からない相手に、自分は一体何を求めているのか。これだから二年間をVRゲーム内で育ってきた、危険なSAO生還者は――などと、何やらの専門家に言われてしまう。そういうところはどうも疎いものの、ひとまず今、一番知りたい人物は。

「どうした、リズ」

 ……彼女のことだろう。

「雪が綺麗だなって。ショウキ
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