10部分:第十章
[8]前話
第十章
「それに携わって見させてもらうのはいいものよ」
「ふうん、そうなの」
「それが」
麗子と有子がそれを聞いて目をしばたかせる。
「いいんだ」
「私達を見るのが」
「いいのよ」
また言う房江だった。
「忙しくて大変だし」
「ずっと遅いからね」
「朝から晩まで」
映見と祐美もそれを言う。
「私達の為にね」
「頑張ってくれて」
「家庭との両立も大変だけれどね」
それも大変だというのである。しかしなのだ。
「けれどそれもあって」
「いや、やるわね」
「見事ね」
「確かに」
四人はそんな房江の話を聞いて思わず唸った。
「伊達に私達のマネージャーやってないわよね」
「しかも二児の母でね」
「中々そうはいかないわ」
こう言って褒めるのであった。そうしてだった。
「それはね」
「それじゃあ今日は」
「ええ、それじゃあ」
「マネージャーに乾杯ね」
また四人笑顔で見合って言い合った。
「今日はね」
「働き者のマネージャーさんにね」
「それでどうかしら」
「私になの」
当の房江は四人に言われて少しきょとんとした顔になった。
「何か悪いわね」
「悪くないわよ。じゃあジョッキをもう一杯ね」
「どんどん頼みましょう」
同時にスイッチも入った。それも全員である。
「焼き鳥も頼んで」
「そうね。こうなったら食べて」
「がんがんやりましょう」
「ちょっと待って」
ここで四人を止めに入った房江だった。
「それはいいけれど」
「いいって?」
「何かあるの?」
「飲み過ぎには気をつけて」
このことを言うのである。
「それはいいわね」
「あっ、喉に気をつけて」
「それでなの」
「そうよ。お酒の飲み過ぎは喉に悪いからね」
「ううむ、ここでもマネージャーなのね」
「真面目なんだから」
四人も苦笑いだった。しかし頷きはしていた。
「じゃあここはマネージャーの言う通り」
「節制してね」
「そうよ。これからも頑張ってもらうから」
やはりマネージャーとして言うのであった。
「それは気をつけてね」
「わかったわ、じゃあ」
「マネージャーと一緒にね」
四人は笑顔で彼女に応える。そうしてまた彼女に対して乾杯するのであった。自分の為に頑張って働いている彼女に対して。
マネージャーは大変 完
2009・12・19
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ