5部分:第五章
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た。大学生にはあまり見えない感じだった。
「この人ですか」
「大学の三つ後輩で」
先生はそう説明する。
「一目で。その、あれで」
「好きになられたんですね」
「そうなの」
頬を赤らめさせてこくりと頷いてきた。
「主人は私の趣味を知っているけれど別に何も言わないし」
「そんなに気になります?」
「だって。当然じゃない」
顔を俯かせて千佳に述べる。
「似合わないでしょ、やっぱり」
それが先生の言い分であった。
「先生みたいな女がそんな格好」
「それは別に」
「お世辞は言わなくていいから」
「じゃあ本音言いましょうか?」
千佳はこう先生に返した。
「それだったらいいですか?」
「ええ、いいわ」
また覚悟を決めている声になった。その声で言うのだった。
「是非。言って」
「じゃあ」
「人それぞれですよ」
にこりと笑って言う千佳であった。
「えっ!?」
「ですから。人それぞれですよ」
「お世辞!?それとも」
「だって。私も同じですし」
千佳はまたにこりと笑って言う。そこには何の照れも隠しもなかった。
「同じって。それは」
「一緒にピンクハウスの服着てますよね。ですから同じじゃないですか」
「それはそうだけれど」
しかしそれでも先生は俯いている。納得していない顔であった。
「私はそうは。思えないわ」
「じゃあ逆の立場だったとしますね」
千佳はそれを受けて今度はこう言うのだった。
「私が先生だったら。どう思われますか」
「それで私が生徒なのよね」
「はい、それだと」
「羨ましいわ」
これが先生の意見だった。見ればその目は少し羨望が入っていた。そうして千佳を見ている。彼女がピンクハウスが似合うのが羨ましいのだ。
「本音を言うけれど」
「羨ましいですか」
「ええ、似合うから」
それを正直に述べる。紅茶がいつもより苦く感じる。だがそれは有り得なかった。何故なら先生が飲んでいるのはロイヤルミルクティーだからだ。しかもそこには砂糖をこれでもかという程入れているのだ。苦い筈がないのだ。甘くはあっても。
「やっぱり」
「それで。どうしたいと思われますか?」
「どうしたいって私が!?」
「はい」
またにこりと笑って先生に言う。
「どうされたいですか、羨ましいと思ったら」
「やっぱり。そうなりたいわ」
これが答えであった。
「似合うように。無理かも知れないけれど」
「私もです」
そこでこう言う千佳であった。
「私もそうなりたいです。似合うように」
「けれど後藤さんは」
「先生は素敵な方ですよ」
声をうわずらせた先生に言うのだった。
「そ、そうかしら」
「背が高くて奇麗で」
これは本当のことである。千佳が本当に思っていることだし他の皆
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