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第一章
ピンクハウスでもいい
松浦冴子は高校で物理の先生をしている。背が高くモデルのようなスタイルでいつも整った顔を険しくさせている。まるで女優の様に奇麗な顔であるがそのせいであまり好感の持てる顔ではなくなってしまっているのだ。
しかもその身体をいつも地味で露出のない服で覆っている。何もかもに色気も可愛げもない先生だった。
「ちょっとねえ」
「なあ」
皆それが残念だった。厳しいが真面目な性格だったので生徒からは悪い評判はなかった。いい先生だと言われている。だからこそ言われるのだ。
「あんまり愛想がないから」
「そう、それ」
皆が言いたいのはそこであった。
「そんなの全然ないし」
「ないっていうかあれよ」
ここで女の子達が言うのだった。
「そういうのから背を向けているわよね」
「あんな地味な服ばかりで」
シックと言えば聞こえはいいが黒だのグレーだの地味な色彩のロングスカートやズボンばかりだ。間違ってもタイトミニやガーターなぞはない。上の方も胸は全く見えずその豊かな胸が完全に服という鎧によって覆われていたのだ。
「何が楽しいのやら」
「やっぱり女の子はあれよ」
年頃の娘が言う言葉は決まっていた。
「派手で」
「そうそう」
皆笑顔で言い合う。
「脚も胸も見せないとね」
「面白くないわよ」
「わかってるじゃねえか」
男達がそれを聞いて大いに頷く。やましいところのある顔で。
「やっぱり露出だよ」
「なあ」
「こらっ」
だが女の子達はそんな彼等を叱るのだった。軽く。
「あんた達に見せるんじゃないわよ」
「見たいのならお金払いなさい」
「ってお金取るのかよ」
「そんなに高いのかよ」
「女の肌はそれだけ価値があるの」
女にだけ許される言葉であった。とりわけ若ければ尚更だ。肌の威力はまさに魔力だ。もっとも松浦先生にはそんなものは全く無縁であったが。
「わかってるの?」
「だからよ」
「じゃあ心の中で払うよ」
「はい、一万円」
男達も負けてはいない。かなり強かに言い返す。
「心の中で払ったぜ」
「これでいいか?」
「心の中で払うのなら二万円よ」
「三万円でもいいわよ」
そう言うとまた言い返す。まるでテニスの様なやり取りになる。
「払うのならまけてあげるわ」
「いや、いいから」
「じゃあ心の中で三万円」
「俺は五万」
「まあいいわ」
五万と言われると流石に悪い気はしない。
「それじゃあ五万でね」
「心の中で受け取ったわ」
「どうもどうも」
男達は笑顔で返す。そんな話をしている中クラスの中の一人の女の子がファッション雑誌を見ながら友達とあれこれ話をしていたのであった。
「ねえ、これだけれど」
雑誌に
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