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バレンタインは社交辞令!?
7部分:第七章
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第七章

「ねえ」
「何?」
「私も手伝おうかしら」
 浩太を横目で見て言ってきた。
「手伝うって。何を?」
「だから。これ持って帰らないといけないでしょ」
 岩田さんはそれを言う。
「そうでしょ」
「そうか」
「そうよ」
 ここで何を言っているのといった顔を見せてきた。悪戯っぽい笑みと共に。
「じゃあいいわね。半分持つわ」
「いや、そんなにはいいよ」
 それは浩太が断った。しかし彼は言った。
「けど・・・・・・有り難うね」
「いいわよ」
 こうして二人はこの日も並んで帰ることになった。その手にはやはりチョコレートが山程入った袋がある。色々な種類のチョコレートがありかなりのバリエーションがあった。
「とにかく勝ててよかったよ」
 浩太は夜道を歩きながら岩田さんに言った。あの暗い会社の帰り道を今二人並んで歩いている。
「負けたらやっぱりね。悔しいし」
「そうよね」
 岩田さんもそれに応えて頷いてきた。
「負けるより勝つ方がいいに決まってるからね」
「そういうこと」
 彼はそれに頷いた。本当にそう思う。
「それで勝ったけれどさ」
「うん」
「何か引っ掛かるんだよ」
 会社の中で言いそびれたことを今述べる。
「何で勝ったのかって」
「それ?」
「そう、どうして僕が勝てたのかって」
 それをまた述べる。述べながら岩田さんの方へ顔を向ける。
「あのチョコレートは何だったのかなって」
 彼の勝利を決めた一個のチョコレート、それがどうしても気になる。それをあえて言ってきたのだ。
「心当たりある?」
 正直岩田さんが怪しいのではと思っていた。だからかまをかけてきたのだ。
「そこんとこどうなの?」
「気になって仕方ないんだ」
 岩田さんはそれを聞いて言う。
「やっぱり」
「気にならないわけないじゃない」
 浩太はそう言葉を返す。
「だってさ。それで勝てたんだから」
「じゃあさ、まさか」
 岩田さんも言葉を返してきた。
「勝てたのは誰かのおかげだって思ってるのね」
「そうだよ」
 それを素直に述べてきた。
「誰なのかわかる?」
「ふうん。それじゃあ」
 また思わせぶりに笑ってきて浩太に顔を向けてきた。そして言ってきた。
「あるって言えばどうするの?」
「どうするかって?」
 この言葉は想定していた。だから浩太も驚いてはおらず冷静に返した。
「そう。どうするの?」
「まずはその女の人が誰か知りたいね」
 彼は計算通りの言葉を出してきた。
「まずはそれから」
「そう」
「それ誰かな。知ってる」
「悪いけれど」
 浩太はそれを聞いておや、と思った。てっきりここで岩田さんが名乗ると思っていたからだ。
「誰なのかしらね」
「知らないんだ」
「名乗らなかっ
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