第五話 姉の苦悩その四
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優子は毎晩飲み続けた、そして。
優花はその姉を心配してだった、学校で龍馬に相談した。
「最近姉さんおかしいんだ」
「前言ってたな、最近特にだよね」
「毎晩飲んでるんだよね」
心配する顔での言葉だった。
「それもこれまでの倍の量をね」
「前から酒好きの人だけれどな」
「最近特になんだ」
「絶対に何かあったな」
龍馬は鋭い目になって言った。
「それは」
「やっぱりそうだよね」
「ああ、さもないとな」
それこそというのだ。
「そこまで飲まないだろ」
「毎日ね」
「毎日飲む人じゃなかったな」
「ちゃんと休肝日は作ってたよ」
「それでだからな」
「やっぱりね」
「何かあったな」
確実にとだ、龍馬はまた言った。
「優子さんに」
「何があったのかな」
「そこまではわからないがな」
「それでもだよね」
「ああ、それもな」
「それも?」
「これは俺の勘だけれどな」
そこから言うことだというのだ。
「優子さん自身のことじゃないな」
「じゃあ何について悩んでるのかな」
「仕事のことって聞いたけれどな」
龍馬はさらに言った。
「そんなに今大変なのか」
「そうなんだろうね、けれど」
眉を曇らせて言った優花だった。
「姉さん今まではね」
「そんなに仕事のことでもだよな」
「悩んでなかったよな」
「姉さんくよくよしない性格だから」
優子は実際にそうした性格だ、そのことから言うのだった。
「それにあっさりしてるからね」
「ああ、俺もそう思う」
「龍馬も姉さんと付き合い長いしね」
「俺と御前が知り合ってな」
幼稚園の頃だ、二人は幼馴染み同士なのだ。その時から友人同士であり親友と言ってもいい間柄なのだ。
「その時からだからな」
「そうだよね、だからね」
「優子さんのことも知ってるつもりだからな」
「信じられないよね」
「優子さんらしくないな」
龍馬は腕を組んで言った。
「どうもな」
「僕もそう思うよ」
「本当に何があったんだ」
「自分のことじゃないらしいよ」
「病院は閉鎖しそうとかか?」
「あの病院が?」
優子の務めている八条大学付属病院のことをだ、優花は話に出した。
「あそこはね」
「潰れる筈がないな」
「大学の付属病院だし」
「しかも八条グループだからな」
「あのグループが倒産しない限りは」
とてもと言うのだった、優花も。
「ないよ」
「世界屈指の企業グループだからな、八条グループは」
「あそこが潰れそうになるとだよ」
「もう大騒ぎになるな」
「うん、だからそんな話はね」
それこそというのだ。
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