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ウェディングは華麗に
4部分:第四章
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「まだ、って考えるのともう、って考えるのとで全然変わってくるからね」
「気の持ちようでも全然違うのね」
「これ、考えたことないでしょ」
 このことも真由子に対して尋ねるのだった。
「まだとかもうって」
「ええ、私はどっちかっていうと」
 視線を斜め上に右から左に泳がせる。考えている目であった。
「まだ、って考えるから」
「人によるけれど真由子にはよくない考えね」
「そうなの」
「引っ込み思案だとね。余計にしんどいわよ」
 真由子に教える。
「だから。ここはね」
「もう三キロって考えるのね」
「あとたった七キロ」
 こうも言う。
「頑張ってね。たった七キロだから」
「わかったわ。じゃあ智己」
「何?」
 今度は彼女が真由子の言葉に顔を向ける番だった。
「あんたの目標は何キロなのかしら」
「五キロね」
 こう答えてきた。
「それが目標よ」
「五キロか。私の半分ね」
「そうね。完全に半分ね」
「じゃあもうすぐじゃないの?」
 ここまで聞いて智巳に尋ねた。
「今三キロ痩せたから」
「残念だけれど私は二キロも痩せていないわよ」
「えっ、そうなの」
 それを言われて目を丸くさせる。
「同じだけ動いていて同じものを食べてるのに」
「体質よ」
 今度言うのはそれだった。
「体質なの」
「そう。真由子は油断するとすぐ太るでしょ」
「ええ、まあ」
 その通りだった。完璧なまでに当たっていた。
「そういう体質なのよ。だから困ってるのよ」
「それはかえっていいのよ」
「いいの!?」
「言い換えればすぐに痩せられる体質よ」
 こう真由子に述べる。
「簡単にね」
「簡単に」
「そうよ。だってもう三キロも痩せたじゃない」
 そのうえでこうも言ってきた。
「だから。あと七キロだってすぐよ」
「すぐなの」
「だから安心して。痩せるのは私より楽だから」
「わかったわ。それにしても智巳」
「何?」
「私がダイエットする理由は結婚だけれど」
 ウェディングの為だ。これははっきりしている。
「けれど智巳はどうしてなの?もう充分痩せてるのに」
「それは秘密よ」
 しかしそれについては笑って答えようとしない。何かを明らかに含ませた怪しい笑みであった。それをわざと見せてきたのである。
「秘密。いいわね」
「秘密主義なのね」
「ええ。その時になったら言うわ」
 しかしこうも言うのだった。
「その時にね」
「その時って」
「絶対に言うから」
 一応はこれは保証してみせるのだった。
「それは安心してね」
「安心って。そういうものじゃないと思うけれど」
「まあとにかく。ダイエット頑張りましょう」
「ええ、まあそれは」
 これに関しては異論はない。彼女もそのつもりだ。
「御願
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