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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第八話 指切りの約束と、四月の空模様
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いような、少ないような、そんな時間。

 寝て、起きて、食べて、動いて、寝て……。

 そんな繰り返しだけで過ごす人間の一生のうちの、ほんの五年。

 それは、俺たちの中で俺たちの印象を薄くしていくには充分だった。

 一生忘れられない人。

 きっと、誰にでも一人はいるだろう。

 だけどその人たちは忘れられなくても、色褪せていく。

 今は過去へ流れていくのだから。

 そして、そんな五年が流れた。

 雪鳴の中で小伊坂 黒鐘と過ごした時間。

 天龍 黒鐘に抱いた感情や印象。

 そして紡いだ言葉や想い出。

 全ては遠い過去になって、今の雪鳴に不安を与えた。

 もし、自分の記憶とは違う俺だったらどうしよう?

 もし、自分の知ってる彼じゃなくなっていたら?

 もし、自分の中にある彼は、ただの妄想でしかなかったら?

「……ごめんな」

 俺は、ようやく理解した。

 だから謝った。

 五年間、何の連絡もしないで過ごしたその時間は。

 そして五年が経過した今、何の連絡もしないで再会したその時間は、過去の記憶との答え合わせだったってことを。

 俺はこの五年間、知らず知らずの間に彼女を傷つけていた。

 それを今更になって気づいたから。

 手遅れかもしれないけど、謝るしかなかった。

「ほんと、ごめん」

 せめて、手紙の一つでも送れば良かったなって、今更になって後悔した。

 たった半年程度の付き合いだからって、甘く見ていた。

 彼女にとっては、時間の多い少ないなんて関係なく、俺と過ごした日々は大事だったんだ。

 それを分かってあげられなかった。

 いや、分かろうともしなかった。

 五年前に色々あったとは言え、それは彼女を傷つけた言い訳にはならないし、言い訳になんてしたくない。

 だから俺は、心から謝った。

「五年前、何も言わずに去ってゴメン」

 他に色んな言葉が出てきたけど、声に出せなかった。

 だからこんな短いものになった。

 心が篭ったかすら不安なそれを、しかし雪鳴は嬉しそうに微笑みながら頷いてくれた。

「次は、『行ってきます』って言葉が欲しい。 それだけで、充分だから」

「分かった。 約束するよ、だから――――」

 俺は約束のために小指だけ伸ばした右手を差し出し、

「――――ただいま、雪鳴」

 俺の言葉を雪鳴も小指を差し出し、互いの小指を絡めながら、

「おかえりなさい、黒鐘」

 約束。

 そして再会を確かめ合うように、指切りの約束をした。


*****


「二日連続で夜遅くなってごめんな」

「ううん、大丈夫! 
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