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滅魔士
第一話ー滅魔士ー
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た人達に順に見せていく。だが、全員首を横に振り、なんら収穫はなかった。だが、まぁこれもいつもの事だと割り切っておこう。
そんなことより俺が気になったのは、村人の反応だ。俺が滅魔士だといった瞬間希望にも不安にもみてとれる複雑な表情を浮かべる人が何人かいたのだ。だがいきなり事に首を突っ込むのも不審に思われるので、すくなくとも今は無視しておこう。

「力になれず申し訳ない滅魔士殿……さて、皆の衆商人さんと仕事のぉ話しなさいな。荷台を中央の広場へ運んであげなさい」

どうやら彼はこの村の村長のようだ。礼儀正しく姿勢も低い。まさにみんなから親しみを持たれるタイプだろう。微笑ましい、平和な村だ。
とかじっくり見ていたらいつの間にか彼らはおっさんの荷台毎おっさんを連れて行ってしまった。

「あ、おっさん宿……!」

気づいたときにはもう遅い。俺の声が聞こえないほどに村人に囲まれ色々と話しかけられている。どうやら宿さがしは自分でやらなければならなさそうだ。
ま、無償の精神を持て!とかなんとか自分に言い聞かせよう。

「さて、わたしも行きますかな……あぁ滅魔士殿、この村に泊まる気でしたら村の西側、大きな鶏が目印の宿がいいですぞ。これまた看板娘がめんこくてのぉ……孫なんじゃがな」

「……マジか。可愛い子がいればそこが地獄の底だろうと極上宿屋に早変わりだぜじーさん!あんたの孫ならさぞ優しい性格だろうなぁ」

「……う、うむ。ここまで食いつきがよいとは思わんかったわい」

しまった、つい可愛い子と聞いて反応してしまった。じーさんが若干引いている気がしなくもない。
だがまぁ、なにはともあれ宿は決まった。確か西にある鶏が目印と言っていた。幸いにもこの村は言ってしまえば家の数も少ない村だ。なにせ、家と家の間に畑が出来るほどだからな。すぐ見つかるだろう。

「にしても平和だぁ……確か川があったっけか。折角だし散歩でもしようかねぇ」

道は小石が敷き詰められて舗装されているものの、その小石の隙間から小さな草が芽吹き、そこに蝶が舞っている光景がそこらかしこに見える。しかも両側にある家は平たく、屋根は藁、柱も木で出来ていて風が吹くたびに聞こえる藁の揺れる音がまたなんとも言えない。
すこし歩いただけですぐ視界が開け家と畑をはさんで草原が広がり太陽の眩しさが俺を立ち止まらせる。そして大きく深呼吸して日頃の魔との戦いの疲れを癒していた時、後ろから若い女の声が。

「あの、失礼ながらひょっとして滅魔士さん、ですか?」

振り返るとそこには髪を腰まで伸ばし、手には籠。中には新鮮な野菜が詰め込まれエプロン姿の可愛い子が首を傾げ顔を覗き込むようにして立っていた。
これがまた陽の光といい風景と言い実にマッチしている。おもわず一瞬見
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