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滅魔士
第一話ー滅魔士ー
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には大きく切り立った崖がそびえ立ち、その断面から察するにここは昔川の様な渓流だったようだ。

「おぉ……さて、見えるかい?あれが、デポイ村さ」

「……小さいが、のどかで良い村だ」

広大な草原の真ん中にポツンと見える本当に小さな村。周囲には草が生い茂り、村と草原を分けるのは俺の腰までしかない柵だけだ。
その向こう側には切り立った崖付近から流れてくる川が太陽の光を反射させながら魚を育み、生活の要になっているのが一目で分かる。

「ほんと、ここからでも町全部見渡せるんだからな、小さい村だ。でも、この辺は野菜の収穫が盛んでな。交易もしやすいんだわ。っと、残り少しだ、あんさん悪いがもうちょっとだけ手伝っておくんな」

「わかってるさ。んじゃ、行くか」

下り坂に転がる小石一つで荷台が大きく揺れ乗せている荷物が堕ちそうになったり荷台そのものが転げそうになりながらも俺達は何とか坂を下りきり、そのまま難なく村へとたどり着いた。

「っつぁー!いやほんと助かったぜあんさん!そいや、名前聞いてなかったな!」

そういえば俺も名乗っていなかった。ついうっかりと流れるがままにここまで来てしまったが結局滅魔士であること以外何も話していないことに気がついた俺は改めて自己紹介。

「悪い、すっかり忘れていたな。俺はシリウス。シリウス・ブラッドレインだ」

「シリウス・・・星の名前と同じか・・・!あんさん良い名前付けてもらったな!」

感謝の言葉と共に握手を交わす。だがどうやらその声が大分大きかったらしく、村の農場や畑で作業していた人たちがぞろぞろと村の入り口に集まり始めたではないか。

「これこれ……こんな朝からなに騒いでおるってあぁ、商人さんか!皆の衆!商人さんがいらっしゃったぞ!」

集まってきた人たちはほとんどがかなりの率で年寄りばかりだ。彼らの服は商人が来ている布地の一枚着よりさらに汚れ、泥や汗が染み込んだ努力の成果が伺える。
クワやシャベルを握る手に見えた豆は俺の手にできたこれまでの豆に匹敵するほどのもので、内心驚いた。が、あまりいい顔ではないので表情は涼しいまま。

「商人さんや、いつも助かります……はて、いつもの馬はどうされたのですかな?それにそちらのお方は……」

馬については逃げられたの一言で済むが俺のことはいささか話にしにくいだろうと先に俺が口を開いて状況をかいつまんで説明する。

「なに、俺ぁ大した者じゃないさ。まぁ一応、滅魔士をやらせてもらってるシリウスってんだ。ある女を探して旅してる途中、馬に逃げられて困ってた商人のおっさんを助けて一緒にここまでって訳よ。んで、こんな女なんだが見たことないか?」

ポーチから一枚の似顔絵を取り出し、その場に集まり話を聞いてい
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