暁 〜小説投稿サイト〜
没ストーリー倉庫
幻のIS小説のプロットが長すぎたが完結した。
[10/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
気に入った人間しか護る気はなかったが、まともに千冬に頼られたのが嬉しいのと生徒が何人か避難所から消えている事に気付いてここまでやってきたという。そして、レバーを押して生徒を『助けた』。部屋のシステムが原始的すぎて彼女にも乗っ取れなかったので、片方を見捨てるのは必然だった。と、本人はへらへら笑いながら説明する。

「それにしてもその子も馬鹿だよね。老い先短い上に生産性の低いゴミ女を一人より、将来の展望がないわけでもない凡人を何人か生かした方が『効率がいい』のに。それとも増えすぎた人類を減らす方にするのか迷ったのかな?束さんには訳ワカメだよ」

 もう失神寸前まで追い詰められて言葉が届かない癒子たちと、呆然自失で何も聞こえていない梓沙を抱きながら、真人は束という人間が心底嫌いになった。
 束は、この部屋以外の基地システムを全部掌握していたが、首魁だけはまだ見つけられていない事を語り、戦闘不能な梓沙たちをおつきのゴーレムに運ばせてその場を去った。真人はその背中にIS拳銃の照準を突きつけるほどに束が憎らしかったが、『非効率』なのでやめた。

 一方、突入したシャルはその首魁である『ピエロ気取り』と対面していた。そいつは30歳程度の女だった。シャルはその顔に見覚えがあった。あれは確か、父親に無理やり付き合わされたパーティで顔を見ただった国連の幹部格。束が動いたことで全てを覆されたのか、やけになって喚くような口調で彼女は勝手に喋る。

 それまで国連のしょうもない役職に就く人間だったこと。IS委員会の所為で人員が激減した国連の中で高い地位に付き、コネクションを得たこと。貧しい国に分配されたISを「研究補助」の名目で手に入れ、IS委員会が国家間競争を激化させる中で警戒の薄かった国連側からのアプローチで『亡国機業』を作ったこと。

 女尊男卑社会は愉快だったそうだ。そして自分が出世して他人を追い越し、自分の指先で極秘裏に世界を動かせることが快楽になったそうだ。後は快楽を欲するままに後進国や途上国を支配してビッグマネーをかき集め、今度は国連と委員会の立場を逆転させようとしていたらしい。
 彼女は支配する気はない。遊んで快楽を得たいだけだ。そんな中でも特に学園を壊したくて仕方なかった。自分たちは中立で安全だと思っている世間知らずの連中を殺してみたい。一夏のような理想ばかり語る男を絶望に染めてやりたい。血縁だけで学園に入った梓沙の心を壊してやりたい。そうして、自分が優位に立ちたい。

 唯一、偽真耶だけは組織を壊す可能性があったために彼女の要望だけは取り入れながら、荒くれ者やはみ出し者、廃棄品に死にぞこないを首輪つきのIS操縦者として使役し、ゆくゆくは束を屈服させるつもりまであった。
 しかし、分不相応な欲望は身を滅ぼす。シャルは今もどこかで敗北を認
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ