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幻のIS小説のプロットが長すぎたが完結した。
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最後の最後の最後――激化した戦いのなかで真人は卑怯な手を使った。次の一撃を喰らえば確実に戦闘不能にされる。そんな状況で、真人は「自分の展開しているバリアを解除した」。偽真耶の攻撃が当たれば真人は死ぬ。通常なら考えられないことだ。しかし、偽真耶はそれに気付いた瞬間、無理やり攻撃の軌道を変化させて真人に当たらぬよう体勢を崩した。その決定的な隙に、真人は自らの持つありったけの攻撃を叩きこむ。

 今度こそ、偽真耶は倒れた。

 擬態が少しずつ溶けていく中で、真人は偽真耶に質問する。

「アンタは、結局……俺の何だったんだよ」。その質問に、偽真耶は口を開きく。

「むかーしむかし……あるテロリストの女が心臓を患い、戦えなくなりました」。「テロリストの仲間は、その女を助けるために代わりの心臓を探し……理論上拒絶反応が起きない心臓をやっとの思いで発見します」。「心臓移植は成功……代わりに心臓を抜き取られた女は死にました」。「しかし、その頃から女テロリストの夢に同じ子供が何度も現れるようになります」。「僕を嫌いにならないで……僕を愛して……子供を産む事の出来ない体だったテロリストは、いつの間にかその少年が自分の息子であるような錯覚を覚え始めました」。「そしてある日、女はその夢に出る人物が、前の心臓の持ち主の子供であることを知りました……」。「その頃から、テロリストは血で汚れきった手で、それでもその子に『親として』何かできないかと………」

 そこで言葉を切った偽真耶は、とても優しい声で囁く。

「一目見た時、『この子は私の愛する子だ』って……そんな訳ないのは知ってるよ。知ってるけど……それでも愛してた。大好きだよ、真ちゃん――」

 臓器移植によって、前の臓器の持ち主の嗜好や記憶が受け継がれるという話を、真人は思い出した。だとしたらこの女に心臓を奉げる事になった人物は、自分の――。
 「アンタは人殺しのテロリストで、気味が悪くて、厄介で最悪な女だったよ。――だから、そんな女を今でも信頼してる俺は、どうしようもない大馬鹿なんだろうな……」。偽真耶の顔を確かめることなく、真人はその場を後にする。記憶の片隅に微かに残る嘗ての母親の愛と偽真耶を重ね、大粒の涙を流しながら。

 もしも母親であることの条件が「子を愛すること」ならば、彼女は肉親よりも母親に相応しかった。


 その頃、梓沙は母親を助けるために基地の中を誘導されるように飛翔し続け、ある場所に辿り着く。そこには二つのガラス越しの部屋と、ひとつのレバー。部屋の一つには自分が助けようと頑張った母親の姿。そしてもう一つの部屋の中には……親友の癒子たち数名の友達。何故ここに、と思わず問いかけると、学園襲撃前に無人ISによって強制的にIS内に取り込まれ、ここまで運ばれたと言う。母親の方はとに
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