第六章
[8]前話
「その前に」
「それでもブーケを貰うとな」
「結婚出来るっていうわね」
「ああ、だったら素直に喜んでもいいだろ」
「結婚ね」
「いい相手と結婚出来ればいいな」
「ええ、そのことは神様にお願いするわ」
ブーケを手にしたままだ、カシアはミコワイに答えた。そしてだった。
カシアはそのブーケを持った状態で笑顔になった、そうして将来のことを考えた。
その十年後だ、村の小さな女の子あの時の自分と同じチウルカを被った緑と白の晴れ着を着た少女からだ。
カシアはブーケを受け取った、そのうえで少女にお礼を言った。
「有り難う」
「カシアさんもこれから」
「ええ、奥さんになるのよ」
にこりと笑ってだ、カシアは少女に答えた。十年前とは違いすっかり大人になあった顔で。
「今からね」
「そうよね」
「ええと、ミコワイさんは」
「今から彼のところに行くわ」
純白のウェディングドレスの中で言う。
「あの人のところにね」
「そうするのね」
「まさかね」
ここでだ、カシアはこうしたことを言った。
「十年前こうしたことになるなんて思わなかったわ」
「ミコワイさんと結婚することは?」
「とてもね、あの時私とあの人は姉弟だったのよ」
「それでも結婚出来るの」
「義理ならね、お友達から姉弟になって」
そしてというのだ。
「今度は夫婦になるのよ」
「そうなるのね」
「不思議なものよね、世の中って」
「そうね、それじゃあ」
「今から」
「ええ、あの人のところに行って来るわ」
夫となる彼のところにというのだ、こう少女に言ってだった。
カシアはブーケを手にしたまま夫となる彼のところに行った、そしてすっかり整った容姿になった彼に行言った。
「これからも宜しくね」
「これまで通りな」
チウルカも応える、二人でこう話してだった。
仲良く式に出た、十年前と同じ場所に今度は主役として。
チウルカ 完
2016・3・28
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