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破壊ノ魔王
一章
16
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。コレで、す」


震える女は封筒を俺に差し出す。そのなかには一枚のカードが入っていた。それを取りだし、封筒は女に返す。

ん。良い出来だ。これならバレねぇ


「あ、の……ゼロさ、ん……」

「あ?もう用はねぇよ」


……………………あ?



女は訳がわからないことに急に抱きついてきた。音がするくらい震えて、こいつも何か言ってるが、さっぱりわからん。とりあえず邪魔だから引き剥がそうとした


「じっとしてろ!闇の帝王ゼロ!!」

「あ?」


なぜかいきり立ってる雑魚は、安い酒の臭いをさせて俺を高い場所から見下ろしている。ほぉ?なかなか頭にくる態度だな


「コレを見ろ!お前にツレができるとは思わなかったぜ!」


小型の液晶には寝ている、というより気絶したガキ。そこに刀を持った輩

……へぇ。面白いことしてくれる


「じっとしてねぇとガキを殺す!さーーて!悪魔狩りしてやるぜ!」

「安い要求だな。じっとしてろ、か。俺の首を軍に届けた方が特だろうに」

「言われなくてもそうしてやるよ!お前が強いのはお前が1人で、なにも大切なものがなかったからだ!今はちがう!弱点がここにある!!」

「同感だ。なかなかわかってんだな、子悪党」

「そんな生意気なくち開けるのも今だけだ!やれ!!女!!その傷の復讐をしてやれ!!」


女はその言葉にぴくりと反応し、異様な目をしてナイフを持つ。息は荒々しく、歓喜の声をあげながら恐怖で怯えてる

はぁ、くだらねぇ


「やれぇ!!!」


冷たい何かが背中に突き立てられた。徐々にそこは熱く、焼けるような痛みを放つ。


「いやぁ!!はぁあ!!ハ、ハハハハハハ!!」


随分と女もイカれてる


「いい気味だぜ!ゼロよお?魔の帝王がこんなことでやられてるとはなあ!!愉快すぎて涙が出そうだぜ!」

「…………まったく」


拳銃をとりだし、素早く発射。撃たれたそいつが倒れるよりもはやく次のやつを撃つ。女はびびりすぎてナイフを放してへたりこんじまうし、無礼なあの馬鹿は現状を理解してすらない。

ほんと、どうしようもないバカだな


「…………あのなぁ、俺がそんなのを大事にするようなやつに見えるか?あ?」

「う、うそだろ!?殺すぞ?ほんとにやっちゃうぞ!??」

「あぁ。どうぞご勝手に。だが、今お前の命も俺次第だってことを忘れるなよ」


バカの口が止まったところで、背中に深々とやってくれた女に向かう。女は覚悟を決めたのか、俯いてこちらを見ることもない


「……身分証、いい仕事だった。ま、苦労したんだろうが、報酬はなし。背中のコレでチャラだ」

「………………
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