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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十六話 未来図
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シュタイン少将です」
「どういうことだ?」
「少将が皇帝不予を知って帝都防衛司令官を引き受けるまでにどれほどの時間があったと思います? せいぜい三十分程度でしょう。その短い間に彼は、今私が話した事を読みきったんです」
「…」
「そうでなければどうして帝都防衛司令官を引き受けることが出来ますか? みずから火中の栗を拾うようなまねを」
「…」
「あるいは、既にフリードリヒ四世陛下の死去を想定した事が有るのかもしれません。世の中がどう動くか、どう動かすべきか、彼の頭の中では幾つかの未来図が有るのだと思います」
「未来図か…」
もし、ヴァレンシュタインの描く未来図のとおりになったら帝国はどうなるのだろう。強大な外戚は滅び、政治は保守的かもしれないが安定するだろう。平民たちの不満もかなり解消されるに違いない。リヒテンラーデ・ミュッケンベルガー枢軸か。
意外にいい組み合わせかもしれない。そしてミュッケンベルガー総司令官、ヴァレンシュタイン参謀長…あの二人なら反乱軍を撃ち、フェザーンを平らげ銀河を統一することも可能だろう。しかし、その場合俺はどうなるのだろう。
ミュッケンベルガー配下の有能な艦隊司令官で終わってしまうのだろうか。俺とキルヒアイスの夢は所詮夢で終わってしまうのか…。俺自身が頂点に立つには、ミュッケンベルガー、ヴァレンシュタイン、あの二人を敵に回すことを覚悟しなければ成らないだろう。しかし、勝てるのだろうか…。俺は出口の無い迷路の中を歩くように何度も考え続けた、何度も……。
■ オーディン 帝都防衛司令部 エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
防衛司令部を発足させて二日目に入った。とりあえず、今のところは大きな問題は無い。宇宙艦隊の残存部隊と連絡を取ったが感触は悪くなかった。接触したのはルックナー提督だったのだが、彼はこちらに好意的だった。
ミュッケンベルガー元帥が帰還するまで現状を維持したいというと積極的な協力は出来ないが、敵対行動を取る事は無いといってくれた。どうも彼が心配しているのはシュターデンらしい。かれがブラウンシュバイク公の力を後ろ盾にして、より大きな影響力を持つのではないかと不安を持っているようだ。俺に好意的なのは俺を使ってシュターデンを抑えようという事らしい。彼の話だと他にも同様な考えを持っている提督がいるようだ。今後も接触は続けたほうがいいだろう。
いい報告が入ってきた。遠征軍が同盟軍を打ち破ったとの事だ。皇帝不予の連絡が入ったため追撃は不十分だったようだが、勝ったということはミュッケンベルガー元帥の影響力をこれからも期待できるという事だ。ブラウンシュバイク、リッテンハイムの両者も出鼻を挫かれたに違いない。後は早く戻ってもらう事だ。
しかし、これでロボスの更迭は決
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