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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十六話 未来図
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キルヒアイスと何度も話した。俺ならリヒテンラーデ侯と組んでブラウンシュバイク、リッテンハイムを倒す、その上でリヒテンラーデを倒して全権力を握る。しかしミュッケンベルガーならどうだろう?
「ヴァレンシュタイン少将が説得すると思われるからです」
「参謀長、何故ヴァレンシュタイン少将がリヒテンラーデ侯を支持するのでしょう?」
「ご両所ともヴァレンシュタイン少将をどのように見ておられます?」
キルヒアイスの問いにケスラーも問いで返した。妙な事を訊いてくるな。
「優秀な軍人だ。戦術家にとどまらず、戦略家としての力量も有ると見ている」
「小官も司令官閣下と同様です」
俺とキルヒアイスが答えると、ケスラーはゆっくりと考えながら話しかけてきた。
「小官もヴァレンシュタイン少将が優秀な軍人である事は否定しません。ただ、ヴァレンシュタイン少将はどちらかというと政治家としての発想をすることが多いと思うのです」
「政治家としての発想?」
どういうことだ? 俺とキルヒアイスはまた顔を合わせた。
「或る問題が起こった場合、それを解決する事でどのような利益、不利益が生じるか、それを考えた上で行動を起すという事です」
「よくわからないな、では、この場合の不利益とはなんだ?」
「だれが皇帝になっても内乱が生じるでしょう」
確かにそうだ。内乱は発生するだろう。
「なるほど、では利益とは?」
「内乱が起きた場合、ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯を倒せば次の利益が出ます。一つ、外戚がいなくなること。二つ、それによって政治が私物化されることが少なくなる事、三つ、多くの貴族が内乱で消える事によって平民たちの不満が解消される事です。これはブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯のどちらかについてしまうと消えてしまう利益です」
「なるほど…」
「おそらく少将はそのことをミュッケンベルガー元帥に話すと思います。だれが皇帝になっても内乱が起きる、どうせ内乱が起きるなら、少しでも国家の利益になるようにするべきだと。元帥としても少将の言を否定する事は出来ない。そして決断するのは元帥です。」
なるほど、そういう持って行き方があるか。
「幸いな事に反乱軍は弱体化しています。今なら帝国が内乱状態になっても反乱軍が大規模な反攻に移る可能性は少ないですし、小規模な攻撃であればイゼルローン要塞で十分に撃退可能です。少将にとっては説得しやすい状況になっています。元帥は少将の意見を受け入れざるを得ないと思うのです」
今回の遠征にヴァレンシュタイン少将が参加しなかったのは、これを予想していたからだろうか? ケスラーに聞いてみたかったが、聞けなかった。
「…よくわかったケスラー。見事な論理の展開だな」
「とんでもありません。むしろ恐るべきはヴァレン
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