第三章
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二人は休むことにした、この時妻は夫にこんなことも言った。
「モラビアもいいけれど」
「ああ、そろそろだね」
「子供欲しくない?」
「もうちょっといいんじゃないかな」
夫はおっとりとした調子で妻に返した。
「あと二年は」
「またそう言うけれど」
眉を顰めさせてだ、妻は夫の今の言葉に返した。
「私はその二年で三十になるのよ」
「だからっていうんだね」
「そう、もうね」
「ううん、それじゃあ」
「そろそろね」
実際にというのだ。
「子供をね」
「まあ今日はね」
逃げる顔でだ、夫は妻に返した。
「一昨日したから」
「それでもよ」
「今日もっていうんだね」
「駄目かしら」
「今日はちょっと」
「全く、子供が出来ないと」
妻として言うのだった、だが。
アントンはこちらには消極的だった、彼は特に子供が欲しいとは思っていないからだ。だがエディタは別だ。どうしても彼との子供が欲しいのだ。妻として。
それでだ、こっそりとだった。
実家の末の妹であるルチアにだ、密かに電話をして言った。
「貴女に頼みがあるの」
「頼みって?」
「今度私実家に帰るでしょ」
「ええ、アントンさんと一緒にね」
アントンに懐いているエディタは明るい声で応えた。
「そうよね」
「そうよ。それでね」
「頼みね」
「そう、あの服を着てね」
そしてというのだ。
「私達をお迎えしてくれるかしら」
「そんなのでいいの?」
「そんなのでもよ」
これがエディタの返事だった。
「是非のなのよ」
「姉さんかなり真剣?」
「真剣そのものよ」
まさにという返事だった。
「私的にはね」
「そうなのね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「頼んだわよ」
「お小遣いくれる?」
ここでこう言ってきた妹だった。
「それじゃあ」
「ちゃっかりしてるわね」
「少しでいいから」
「主人から貰うでしょ」
「それでもよ」
妹は電話の向こうから姉に言う。
「あの服着てお迎えするから」
「約束よ」
「私は約束は絶対に守るから」
こう言うのだった、姉に。
「だから安心してね」
「それで安心していいからっていうのね」
「お小遣いお願いね」
「わかったわ」
苦い声であるがだ、エディタは電話の向こうのルチアに言った。
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