狐珀アマルティア
強欲の目覚め
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「そんな顔するなよぉ?俺を殺したのはお前だ・・・お前が殺したんだ・・・だから対価を貰うぞ」
何とも形状し難いおぞましさと嬉しさが混じる笑みを作りあげた狐珀が前にやった右手をぎゅっと強く握る。
すると、十香の目の前で、人が、周りに肉片を吹き飛ばし、飛び散った。まだよちよち歩きしか出来ない子供でも分かる。
人が――死んだ。
最後に見た絶望の顔と、十香にまで飛びかかった血は、十香にも恐怖を感染させた
「なん・・・なんだ・・・これ・・・は・・・」
「あぁ・・・あぁ・・・あぁ!もっと綺麗に!花火みたいに!芸術品にでも出来る程に!美しく!死ねよ!もっと!さっさと!」
狂ったように笑い続けると同時に、三つ目の巨大な拳はもうミンチにされているであろう肉片をずっとずーっと潰していた。
「あいつが・・・キツネ?・・・キツネが・・・殺した?・・・」
見開き、白黒した目は完全に狂気に呑まれていた狐珀を捉えていた。
彼が何であんなことをするのか?彼は狐珀なのか?・・・と
「・・・あれ?もう消えた?血ぃ、終わっちゃった?何で?もっと・・・あ、でもいっか。貰ったんだしぃ♪」
血が一滴も飛び散らなくなった時、ようやく拳を開いた。拳の内側どころか、外側までもが真っ赤に染まり、地面には大雨の降った後みたいな大きな水たまりが出来ていた。
――――フラクシナス本部――――
「なんなんだ・・・あれ・・・」
士道は恐怖と困惑に目を見開いていた。
モニターに映される変わり果てた親友。
親友の狂気染みた行動に状況の掴めていない十香。
肉片と化した運転手。
スクラップとなってしまった大型トラック。
全て、夢にしか見えなかった。
しかし、夢ではないと、大きなサイレンが伝える。聞くことが不快であり、聞きたくもないそのサイレン、そして、ここにいる皆の戦争開始の合図だ。
「幹本は今までに同じ精霊が現れてないか確認!川越は精霊の力をある程度でいいから予測して!他の皆はどうすればいいか考えて!」
司令官である琴里の指令と共に艦橋にいたクルー達が、コンピュータとにらめっこを始める。皆顔が険しく、十香の時には見られない緊張感があった。
しかし、士道にはなにもできない。それが嫌だ。
モニター越しと言えど、目の前にいる親友が狂っているのだ・・・しかし、士道にはそれと同時に、一つ、何故か。絶望感というか、悲しさを感じ取っていた。親友の勘だろうか?それは確かな気がしてならない。
「こ、琴里。俺に出来ることはないか?」
「・・・じゃぁあれと対話してみる?」
「・・・」
琴里が指差したところにいるあれと対話するというのに、何故か恐怖心が生まれた。
あれと話したくない。
十香の時では全くと言っていい程無かった恐怖心が、ぞわっと現れた。
――――商店街周辺―――
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