狐珀アマルティア
強欲の目覚め
[1/5]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「じゃぁ行ってくる。鍵閉めよろしく」
狐珀はニュースで今日一日の天候と今までの事件等のニュースを一通り見終えた後、士道の財布をお借りし、昨日履いていた靴を続けて履き、手を振る。
隣にはフンフンと鼻歌を歌いながら外出を楽しみにしている美少女、十香が居た。
何故、彼女もいるのかというと、未だここの地域に慣れていない為、どうせなら狐珀に慣れるのと同時に地理を覚えちゃえ!・・・・・・とかなんとかいう理由を士道と琴里にこじつけられ、嫌な気はしなかったので、まぁいいだろうということで承諾した。
「ん〜、行ってらっしゃ〜い」
リビングから適当に返事する琴里の声が聞こえる。
琴里は今、星座占いや血液型占い等の占いをハシゴしている為、外出者に返答する時間がないのだ。
「では行くぞ!狐珀よ!」
「キツネでいい」
「キツネ〜?」
十香は口をへの字にして腕を組み、首を傾げた。
「耳は生えてないぞ?」
「・・・理由は後でお話しま〜す」
「ふ、ふむ・・・」
あまり納得していない様子だが、また元気になったのか、扉をガチャリと開け、相変わらず太陽が照らす外の世界へと踏み出した。
あれから100mばかし離れた場所にある天宮商店街。いつもスーパーで買うよりも値段が安く、稀に面白食材やレア物が手に入る。肉屋であれば羊や山羊の肉。魚屋であれば稀に、深海魚とかもやって来る。野菜屋だと紅色の大根や紫色の人参・・・といったように。更には雑貨にも優れていて、本屋とかもある、ここに住んでいてよかったと思える一時なのだ。
「・・・凄い」
「ん?何がだ?」
「昨日。ここ空間震起こった場所」
「昨日か?ここが?」
十香が昨日崩れたというこの商店街を見て、全く分からなかったのか、腕を組み、うむぅと唸る。
実際、ここは昨日小規模な空間震が起こった。勿論建物だけ崩れてないという幸せな話は無く、入口にある肉屋や野菜屋も崩れた。食料も全部アウト。しかし、一夜にして、ここまで回復したのだ。まるで手品みたいに。
「まぁ直ったのであれば問題なし。行く〜」
まるで何かに吸い寄せられるようにポケットに入っていた手はだら〜んとたれさがり、足は千鳥足になっている。
壊れたとは思えない修復の完成度に見とれていた十香が、気づいた時には、もう既に人ごみにまぎれそうであった。
「あ、待てキツネ!」
置いていかれぬよう、足早に歩き、吸い寄せられていく狐珀に追いつき、先程よりも歩幅が大きくなっている歩幅に今度は十香が合わせて歩いてゆく。
狐珀が吸い寄せられた場所は、丁度中間辺りにある焼肉屋。10時30分を過ぎた時間帯になると、このような店もやるのだ。
そこに、筋肉質の、五分刈りの頭に捻り鉢巻きを付けた男が手の甲で頬に滲み出た汗を拭い、手をくるくると回し始める
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ