理と欲と望みと
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憶にまで影響を与えてしまいます。黒麒麟だけならまだいいですけど……“黒雀蜂”や“黒龍”の時の記憶まで復元されたらどうなるか私にもわかりませんよ」
切り替わったモニターの中に移されたのは過去の映像であった。
袁家と共に生きた紅揚羽の相棒と、悪龍の遺志を継いだ世界の敵。
悪徳に染まった彼が駆けた乱世には甚大な被害が齎されるだけで救いなどなく、欲望と絶望の底で彼は最後に笑っていた。
「愛し合ったモノと刃を交えなければならず、誰も覚えていない事実に打ちひしがれ、共に目指した未来をたった一つ以外全て切り捨てて……それでも、お前は世界を変えようと思えますか?」
何も無い天を仰いで、彼女は寂寥の吐息を吐き出した。
あまりに絶望の多い彼を想って。
あまりに残酷な世界を厭いて。
「全ては選んだ選択肢次第ですよ。
でも……やっぱり最後にお前は……笑うんでしょうね」
彼女にも、もはやこの事象の未来がどうなるか分からなかった。
ただ一つだけ分かることは、全ての事象の終着と同じように、彼が笑顔を浮かべて最後を迎えるだろうことだけであった。
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