第七十九話
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
の集中次第で発光をコントロールし、それどころかその瞳の色さえも元の色に変えることをマスターしていたんだ。本当は、これは自力ではなく、王女のアドバイスのおかげなんだけれど。マスターするには結構苦労したんだけれど……。
もっとも、そうしなければならない理由があったからこそ、王女も真剣に教えてくれたし、俺も時間がそれほど無い中でもがんばらざるをえなかったんだけれど……。
なぜなら、左眼の発光は常にその力を顕現させている状態であり、しかもその能力を常時全力で使用しているのと同じだったらしい。つまりアクセルは常時全開というわけだ。それは脳にかなりの負担を与えるようで、ずっとその状態を続けていたら、脳がオーバーヒートしてやられる(場合によっては廃人化するらしい)らしかった。王女曰く「子供の私にお前の介護をさせるような事にさせないで」だって。
まあ、それだけじゃなく、視覚的な問題もあって、常時、目に映るその世界の全てが何か網がかかったようになっているし、人や動物の体の中を奇怪な瘤が漂っているんだから、その映像だけでも精神的に結構負荷を感じていたからね。日常生活もまともにできやしない。
コントロール方法をマスターできた後はホントに体が楽になったんだ。いろいろと結構精神的にきつい日々だったから、これはかなり嬉しかったんだよね。
その場で軽くジャンプする。
瞬時に体が上昇し、塀より1メートル程度上まで飛び上がる。
そして、ふわりと塀の上に両足で着地する。辺りを見回すが、塀沿いに植えられた木々の枝葉の為に植物園の全容はわからない。
そのまま片足で塀の上に張られたワイヤーに足をかけ、そのまま敷地の中へと飛び降りた。
ほとんど音を立てずに着地して周囲を伺おうとした刹那―――
空気感が一瞬にして変わった。
同時に轟音が響くと同時に植物園の外壁が天に向かってせり上がっていく!! 何かの捕獲用の罠が起動したようだった。
「な、なんだ? 」
俺は動揺する。
黒色の壁、しかしよく見るとそれは植物園を取り囲んだ外壁ではなく、全く異質な網目状のものだった。
それは跳ね上がるように上空へ上がり、ある程度の高さに達すると今度はその動きを横へ、つまりこの空間を取り込むようにと動き出した。月明かりが遮られ、闇へと転化していく。それは獲物の侵入を感知して作動した、罠のようだった。
やがてその網目の壁はドームのように植物園を取り込み、やがてその網目状の隙間が埋められていく。
そして、急速な暗転、急速な低温化、急速な無音化。
公園の風景がゆっくりとブレだしたかと思うと次第に歪み始める。
歪みは大きくなり原型を留めることができないほどまでに変容し、崩れていくんだ……。
そして、いきなり耳をつんざく爆発音と
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ