第七十八話
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ばず、墓穴を掘ってしまったようだ。確かに紫音の言うとおり不自然な言い訳でしかないな。
「う、うん。まあそうだけど、そうなんだな。ああ、あれだよ、あれあれ」
としどろもどろになってしまう。
何一つ答えになってないじゃん。
「シュウ君……」
突然。真剣な顔になって、彼女が俺をじっと見つめる。
その視線に耐え切れず俺は目を逸らしてしまう。痛いんだよな。
「いつも、いつもそうだよね。シュウ君は本当に嘘を付くのが下手だよ。誤魔化してるつもりかもしれないけど、判ってしまうんだから。ねえ……お願い。何か困っていることがあるんでしょ? 私にだけは教えて。一人で抱え込まないで。私が相談に乗るから。だからお願い」
言葉は丁寧だけど、その声質からも彼女が怒っているのが判る。どうして本当の事を話してくれないのかと。
いつもそうだった。紫音は俺が困っていると必ず現れて声をかけてくれた。そして助けてくれた。幼馴染の俺がどうしようもなく弱っちい奴だったからだろうな……。俺がいじめられていたりしたら、逆にいじめていた連中に殴りかかって行った。男が女に助けられるなんて格好悪かったけど。いつもは大人しい紫音が俺のことになったら、まるで自分のことのように怒ったり泣いたりしてくれた。小さいときから、俺は彼女に助けてもらってばかりで何もしてあげられなかった。その度に「ごめん」って謝ったら、彼女は「シュウ君のことを放っておけないだけだから」と笑ってくれた。
感謝している。そしていつか強くなって、俺が彼女を護ってやれるようになるんだって誓ったんだ。
「ありがとう、紫音。でも大丈夫だよ。俺は、もう大丈夫だ」
「でも……」
「ごめんな。詳しいことは話せない。でも……俺がこれからしようとしていることは、俺がやらなけりゃ、俺でなければ駄目なんだ。決して誰かが代わりにやれることじゃないんだ」
親友の漆多が寄生根に取り込まれ、殺された寧々の復讐のために俺を呼び出したんだ。俺はあいつを倒すために、いや、殺すために戦いに行かなくちゃならないんだ。こんなことを説明できるわけない。……ただ、紫音なら全てを聞いても「だったら、私が行く」って言いそうなんだけれど。
「そこまで思いつめなくちゃならないことなのかな? 何をするのかわからないけど、シュウ君がそこまでしなくちゃならないことなの? まさか、危ないことじゃないでしょうね。だったら、ますますシュウ君に行かせることなんてできない。相手は誰なの? 教えて」
彼女は俺が喧嘩にでも行くって思ったんだろうか? 強硬に反対する。……まあそれくらいに思ってくれているんならまだ安心なんだけど。
「ごめん。理由は話せないんだよ。でも、紫音を心配させるようなことじゃない。全然大丈夫だから。ちょっと用事があるだけ
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