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マゾフシェの服
第六章
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 そのうえで審査を待った、その結果は。
「二位だったわね」
「惜しくもだったわね」
「まああの一位の娘はね」
「ちょっと別格だったから」
「ええ、最後に出た娘はね」
 その優勝した娘についてだ、ウルシュラも言う。今は祝勝会で居酒屋にいる。そこで肉料理をワインで飲みながら話しているのだ。ウルシュラは既に普通の服に戻っている。
「凄い美人さんだったわね」
「あの娘女優になれるわよ」
「ミスユニバースにも出られるわよ」
「背は高くてスタイルも抜群で」
「お顔もね」
「もう有り得ない程奇麗で」
「しかも髪の毛なんてシルクみたい」
 こう言うのだった、友人達も。
「そんな娘だったからね」
「あれじゃあ女優になれるわよ」
「歌が上手だったらオペラ歌手よ」
「モデルになったらトップモデル間違いなし」
「もう違うわ」
「私もね」
 ウルシュラ自身も言う。
「あんな奇麗な娘はじめてよ」
「ええ、ポーランドは美人が多いっていうけれど」
「あの娘はまた別格だったわね」
「冗談抜きでミスユニバースよ」
「ベネズエラの娘にも勝てるわよ」
 ミスユニバース優勝の常連のこの国出身の娘にもというのだ。
「だから二位でもね」
「充分過ぎるわよ」
「実際ウルシュラよかったから」
「可愛かったわよ」
「出た答えがね」
 それがとだ、ウルシュラは友人達に応えて話した。
「あの服だったのよ」
「民族衣装だったのね」
「そうだったのね」
「あの服だったのね」
「そうなの、それでね」
 ウルシュラはまた言った。
「着てみたけれど好評だったわね」
「実際かなりよかったわよ」
「可愛かったわよ」
「将来の美人物理学者」
「そう言ってよかったわ」
「答えは正解だったみたいね」
 ウルシュラはこう言って明るい笑みになった。
「よかったわ、では今日のことを覚えたまま」
「そしてなのね」
「そのうえでなのね」
「物理にも挑む」
「そうするのね」
「ええ、将来はキュリー夫人みたいな立派な学者になって」
 この場でもキュリー夫人の名前を出した、尊敬するこの偉大な学者の。
「世の中に貢献してポーランド人がとろくないってことを世界に知らしめて、そして」
「そして?」
「そしてっていうと」
「後は幸せな結婚をしたいわね」
 是非にと言うのだった、そうした話をしてだった。
 ウルシュラは友人達にだ、笑顔のままこうも言った。
「じゃああらためて乾杯ね」
「ええ、貴女の二位にね」
「そのことにね」
「そしてあの服にもね」 
 二位にさせてくれた民族衣装にもというのだ、こう言ってだった。
 ウルシュラは友人達と共に乾杯した、そのうえで飲んだポーランドのワインはこれ以上はないまでに美味だった。



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