第1章 始まり
2.金が欲しくてやった。後悔は…
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始業式のある今日、俺は寝坊した。というよりわざと遅く起きた。
理由は単純、始業式に出たくなかったからである。無駄に長い校長の話や校歌斉唱なんてめんどくさいと思うのは誰だって思うはずだ。
…というのは建前で、本音を言えばただ『笑われるのが嫌だから』である。Fランクというのはつまり出来損ないの武偵もどきの総称であり、将来の可能性のない人間のことを指す。
つまり2年でFランクというのは《《一年経っても自分の実力を理解できない奴》》のことを言う。例外もあるが、俺はその部類に値すると他人は見るだろう。
だからこそ、始業式には出たくないのだ。出てしまえば辺りからクスクスと笑われてしまうのはもう分かりきっている。
(…ま、武偵はやめないから結局行かないと行けないんだけど)
始業式が終わった後に新クラスでのHRがあるのだが、それには必ず参加しなければならない。そうしないと後々の授業が受けられなくなるという決まりがある。…どうしてそんな決まりを作ったのかと校長を問いただしたい、本気で。
などと愚痴を言っても仕方ないので俺は身支度をはじめた。
校則で所持義務のある、ほぼ使わない小型銃をホルスターに収め、一応いつも携帯している竹刀を袋に入れる。
パンを食べながらテレビから流れるニュースを適当に聞き流し、予習した化学、数学、そしてこの学校ならではの授業で俺が専攻しているモールス信号についての教科書をしまった。
東京武偵高校も一応普通の教育課程を行っているがあまり重視されていない。武偵としての基礎体力や技量の向上の方が優先されている。
しかし俺は才能がない。この世界で生き残るためには学力も必要なのだ。
ほとんどのクラスメイトが適当に受けている授業だって俺は真剣に聞く必要があった。真面目に受けているだけでクスクスと笑われることもあるが、それはもう気にしないようにしている。気にしていたらきりが無いし。
「よし、行くか」
そうして身支度を整えた俺は学校へと向かった。これから始まる学校生活に大きく胸を膨らませ…ようとしたが出来なかったので、嘆息しながら。
しかしこの時の俺は思ってもみなかったのだ。
これから起こる事件を引き金に、俺の人生がガラッと変わり色づき始めるということを…。
ーーーー
ドンッ!!
それは俺が自転車に乗って軽く鼻歌を歌いながら走っていた時だった。俺の耳に激しい爆発音が響き、足を止めさせた。もう武偵校の敷地内に入っていた俺の周りには人はいない。
そんな中で爆発音が聞こえれば誰でも足を止めるだろう。
「な、なんだ…?」
今の時間は始業式の最中で他の生徒や教師も出席しているはずであり、爆発音が聞こえるのはおかしい。
その後、そ
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