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ソードアート・オンライン〜Another story〜
キャリバー編
第224話 仲間の輪
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ヘイム全土を支配していた人型邪神達が、各所に建築していた砦や城は、たちまち緑に覆われ、廃墟へと朽ちた。



「くおおぉぉ――――――ん…………!」



 そして、突然トンキーが8枚の翼と広い耳、更に鼻までもいっぱいに持ち上げ、高らかな遠吠えを響かせた。

 それに、応える様に……、世界の各所から、おぉ―ん、くおおぉ―ん、と、聞こえて来た。……それは、間違いなくトンキーのものではない。トンキーの遠吠えが木霊しているのではない。間違いなく、応えているのだ。トンキーの仲間達(・・・)が。

 無数の象水母たちが、氷から解放された様に、いや 実際に閉じ込められていた個体もいただろう。清らかな水面から顔を出し、嬉しそうに啼いていた。そして、先程までは人型邪神達が闊歩していたフィールド上でも、彼らは出現していた。人型邪神、霜巨人族は もう1体もいなかった。その変わり、見えたのは あの霜巨人族と共に、象水母達を殲滅せんとしようとしていた、レイドパーティが小さく視認出来る。

 ただただ、空を見上げて呆然とするしかないのは、無理もない。ミス・リードではあるとは言え、数時間もスロータークエストで、奮闘していたと言うのに、漸く目的達成、まで来ていたのに、全てが消えてしまったのだから。

「(―――アルゴに、色々と訊かれそうだな)」

 リュウキは面倒だな、と思いつつ、自分の表情は、全く逆だろう、と思えた。
 それは、人一倍トンキーに。トンキーの仲間達を想い続けたリーファの姿を見たから……。

 リーファは、ぺたりと座り込み、トンキーの広い背中に生えるさらさらした白い毛を撫でて、囁きかけていた。

「……よかった。よかったね、トンキー。ほら、友達がいっぱいいるよ……。ほら、あそこも、あそこにも……。あんなに、沢山………」

 その頬には、ぽろぽろと零れる水滴が見える。
 そのリーファの姿を見れば、当初より 多分大多数が思っていたトンキーの容姿など、最早考える者はいない。どんな朴念仁であったとしても、胸にこみ上げてくるだろう。

 傍に居たシリカは、リーファを抱く様にしゃくり上げ始めて、アスナとレイナ、リズは目許を拭う。いや、レイナに限っては リーファに負けない程、雫をこぼしていた。
 腕組みしたクラインは、顔を隠すようにソッポ向き、シノンも何度も何度も瞬きを繰り返した。
 そして、今回のクエストでは 主にキリトか、リュウキの頭の上をポジションとしていたユイだったのだが、今回は アスナの方へと飛んでいき、その肩に着地。その髪に顔を埋めた。
 リュウキは、この空を見上げ……ゆっくりと目を閉じた。身体全体で感じているのだろう、と傍に居たキリトは感じた。そのリュウキの肩をキリトが軽く叩き、そして 振り向いたリュウキと、拳
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