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ほね・骨 ・Bone!!〜【30万人の骸骨が、異世界に移住した結果がこの有様だよ!】
16話  経済支配-3 「エルフ娘転生鍋」
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「俺は利で動くのだぁー!
兄者の妹に近づいたのもっ!全ては権力を得るためだっ!」

「ぐぬぬぬぬっ……!」

セイルンは幼い頃に、母親が死ぬわ、弟が泳いでいる最中に溺死するわと、身内が連続して死亡するイベントに遭遇しているだけあって、妹の事はとっても大事にしている。
だから、こんな男に妹を任せてしまった事を激しく後悔してしまった。

(こんな事ならっ……!
テンソクを強制労働施設に入れて、謀殺しておくべきだった……!
ワシに素直に従うから生かしておいたのに意味がないっ……!)

「俺は今っ!人間をやめるぞぉっー!兄者っー!」

このまま無駄に熱くなりそうな兄弟喧嘩が始まりそうだった。
だが、緑色のドレスを着た美しいエルフ娘のアトリが呑気そうに、二人の間に入り

「さっさと転生の儀式を始めるのですよ〜」

その声とともに、テンソクの肥えた体をエルフ娘達が持ち上げて、問答無用で大鍋の中に放り込む。
銀色に光る謎の液体に瞬時に溶かされ、テンソクは絶命する間もなく死んだ。

「下等生物を卒業なのです〜」

アトリは、その上から金属の棒で鍋の中をかき回す。
突然の事態に慌てたセイルンは鍋の隣へと来て、中を恐る恐る覗き込んでみた。

(全身が瞬時に溶けているじゃないか!)

憎たらしい義理の弟が殺された。そうセイルンは現実的な思考で理解する。
魔法には詳しくないが、液体に溶け切った人間を蘇生する方法なんてものは見た事も聞いた事もない。
そこでとある事に思い至る。

(ま、まさかっ……!
不老の身体を与えるというのはっ……壮大な罠っ!?)

不老長寿は歴代の権力者が追い求め、誰ひとり叶える事ができなかった人類の夢。
その夢を餌に、アヘン紙幣を大量に手に入れる事が可能な人間達――特権階級を根こそぎ虐殺する。そういう謀略だとセイルンは思った。

(やはりっ……!こやつらっ……っ!
おぞましい邪神の使徒だったかっ……!あわわわわわっ……!
ワシも殺されるっ!?)

「鍋〜鍋〜、鍋は子宮と同じなのですよ〜。
再生して新しい命を作り出す〜錬金術は料理から誕生したのです〜」

可愛いエルフ娘達が次々と鍋に材料を投じる。
再生の力を齎す青金石。心臓代わりになる育金石の護符。峰蜜酒。チョコレート。ミルク。

(おいこらっ!?
ワシの弟を甘くして飲むつもりかっ!
本当に料理しとる!?)

全くもって不思議な事に、鍋の中に異変が起きた。
粘着く銀色の液体が……人の形になりつつある。
大なべを覗き込もうと近づいた権力者達は、その光景に神秘を感じた。
瞬く間に、生気に満ちたピチピチの白い肌が出来上がる。
肢体は軽くて芸術的でしなやか。
流れるような銀髪は、人形のように美しい。
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