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ほね・骨 ・Bone!!〜【30万人の骸骨が、異世界に移住した結果がこの有様だよ!】
15話 経済支配-2 「戦勝祝い市場」
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できる道のりだったが、徒歩で病院に行くとなると時間がかかる。

(こ、こんな事になるならっ……!
宮殿の近くに病院作れば良かったっ……!)

人生とは後悔の連続。栄華を極めた独裁者だろうがそこは変わらない。
俯いたままセイルンは道を進み、大通りへと出た。そこには――数万を超える人ごみが何故かあり、賑やかな市場を形成している。
店には無数の新鮮な魚が並び、ダークエルフや骸骨達が『安いよ〜!安いよ〜』という掛け声とともに、異常なくらいに安い値段で実際に販売していた。
平和な時の相場の五分の一ほどの価格だ。

(はっ?なんだこれはっ……?)

セイルンは激しい違和感を感じた。
今、この首都カイロンはピィザ軍に半包囲され、河川を支配されている。
つまり、物の流れが停止している。食料などの物資は篭城戦をやる時に、軍の力で民衆から巻き上げた。
だから市場を開けるはずがないのだ。
仮に市場を開いて、食料を売ったとしても……安い値段で売る事そのものがありえない。
食料は必ず消費するから需要が極端に高く、供給が少ない現状だと、とんでもない値段の高級品になってしまうからだ。
崩壊したソ連を参考にすると、少なくとも食料品の値段は11倍ほど上がるはずである。

(ワ、ワシの常識が崩壊するっ……?)

しかし現実は、アユに似た川魚がズラリっと店に並び、次々と焼き魚さんへと変身していく。
香ばしくて美味しそうな良い匂いだ。
新鮮な川魚は、カイロンでも高値で取引されるだけあって価値が高い。
鮮度が高い内に、消費者の元へと運搬しないといけないからスピードって奴が求められるからだ。
江戸時代の日本でも、川魚(アユ)を運ぶ業者は高給取りだったから間違いない。
現代の日本の観光地でも、アユの塩焼きは五百円くらいする高級品だ。

「ワルキュラ様がピィザ軍に圧勝なさったわ!
人間達も祝いなさい!
安い値段で買えるのはワルキュラ様のおかげよ!」

可憐で鋭い声が聞こえた。セイルンは顔を上に向ける。
三階建ての集合住宅の屋根に、黒いドレスを来た銀髪の吸血鬼が仁王立ちしている。
ルビーの双子の姉プラチナだ。紅い瞳が人間を完全に見下している。

(胸が小さい方の化物かっ……!こ、殺されるっ……!)

今日の昼頃に、セイルンに強烈な印象を植え付けた娘だ。プラチナがセイルンの馬鹿息子を蹴り飛ばして、魚の餌……もとい『空のお星様』へと変えたのは、トラウマとして記憶に残っている。

(あわわわわわわっ……!に、逃げようっ……!
ここにいたら殺されるっ……!)

「骨や金属はワルキュラ軍で買い取るわ!
だからっ!じゃんじゃんっ持ってきなさいっ!
美味しいお魚さんと交換よ!
アヘン紙幣と交換して上げてもいいわ!」


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