暁 〜小説投稿サイト〜
一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第二章―リンクス―
第13話?リトルプレイヤー
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奮い立たせるように無理矢理にでも笑う。笑って、ごまかす――なかったことにする。
「まあ、そんなことはどうでもいいんだよ。もう終わったことだしさ。それより情報ありがとね、アルゴ。手伝いの話はメールで送ってくれたら多分すぐ反応するからよろしく。それじゃあ、また今度!」
?一気に捲し立て、アルゴの返事も聞かずに昼食代をオブジェクト化してテーブルに置いたあと、早足で店を立ち去る。
?長い間話していたと思っていたが、そんなことはなかったようで、路地を抜けるとまだ街には人がたくさんいた。
?そのなかに混じりながら、僕は額を手で押さえる。
?あの別れ方はなかったな〜……。
?多少居心地が悪くなったとはいえ、あの抜け方はよくなかった。強引すぎる。絶対に向こうに悪い印象を与えてしまった。また今度、とは言ったが、僕からは会いにくい。少し時間を空けた方がいいかもしれない。
?ふと空を見上げる。まだ空は澄んだ青で日光が気持ちよく照っている。吸い込まれそうな青空に、実際に心のもやもやしたものが幾分か吸い込まれた気がして、胸が軽くなる。
「――それじゃあ、洞窟探索頑張ってみますか!」
?小さく自分に言い聞かせて、今度こそ僕は目的地へと走り出した。

?アルゴに言われた通りに進んでいくと、本当に木が一本も生えていない山が見えてきた。こういうのは禿山っていうんだっけ。
?山の周りは木がたくさん生えているというのに、肝心の山には一本もない。明らかに不自然だった。何であのときの僕はこんな目立つ場所を気づかなかったんだろうか。
?そして山の目の前まで来ると、洞窟が確認できた。かなり大きい入り口だ。三メートルはあるだろう。幸いなかには明かりがあるようで、入り口の奥には微かに明かりが灯っているのが見える。
「アルゴの話だと、相当深いらしいからなー。下手すると夜になっちゃうかも……」
?まだ真っ昼間だが、アルゴが一日で探索しきれなかった場所だ。戦闘しか取り柄がない僕が入ったら、それぐらいかかってもおかしくはない。
?そして、このとき僕は自分の失態に気づいた。
「アルゴからマッピングしたマップ買えばよかった……」
?途中まででもいいから知っておいた方が絶対に効率は上がったはずだ。……完全にミスった。まあ、中途半端な情報は与えないようにしているみたいだから、買えたかどうかはわからないが。
?仕方ない、と割り切り、軽く武器や防具の点検をしたあと慎重な足取りで洞窟の中へ潜っていく。恐らく一緒に戦うのはこれで最後であろう相棒の曲刀《ブレード・オブ・ニムバス》――日本語訳で《雨雲の刀》を左手でしっかりと握りしめる。
?入り口から続く道は狭く、人が二人並列するだけで通せんぼができるぐらいだった。両側の壁には一定の間隔で粗末な松明が燃えている。地面は山のなかだから当然だが、砂利
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