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dark of exorcist 〜穢れた聖職者〜
第33話「刻み込まれた記憶・1」
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少年に。
―――8年前
―――【ポーランド・某所】
幼少期のアイリスには、母親しか家族がいなかった。
彼女たちが暮らしていた地域では、崇敬の対象である十字架への信仰と忠誠心が特に高かった。
十字架は神聖なものであり、穢れを滅ぼす救いの象徴として崇められていた。
すなわち、"穢れ"である悪魔に対する嘲りや嫌悪の感情が高い。
銀髪という、悪魔の末裔であるフォールマンの特徴を色濃く表している彼女たちを、周りの人間は
感情を込めて罵倒し、迫害した。
元々病弱だった母親は、病で少しずつ弱りながらも、一人娘のアイリスを懸命に育て、守ってきた。
周りの人間に罵詈雑言を浴びせられても、石を投げられても、その度に娘を庇って守ってきた。
幼いアイリスは母親の服にしがみつきながら「だいじょうぶ?」と目に涙を浮かべて尋ねる。
娘の問いかけに、いつでも母は「大丈夫だよ。心配しないで」と穏やかな口調でアイリスを落ち着かせる。
いつも優しく、明るい笑顔の絶えない太陽のような人だった。
誰かに傷つけられても、他人を愛し続ける慈愛に満ちた人だった。
アイリスは、そんな母親が大好きだった。
母親がそばにいてくれるだけで、アイリスは幸せだった。
母親が突然病死し、独りになってしまうまでは。
母親を亡くしたばかりだった幼いアイリスは、母の亡骸のそばで泣いて泣いて泣き続けた。
独りになったのが怖くて、寂しくて、悲しくて。
涙が枯れるまで泣いて、泣き疲れて、母の亡骸に身を寄せて、重くなった瞼を下ろす。
「(目をとじたら…夢でもいいから………このままお母さんに会えるといいな……)」
目を閉じて、眠りにつこうとした時だった。
母の死を待っていたかのようなタイミングで、アイリスの家に3人の男が入り込んできた。
男達は全員白いローブを着ており、首には金の十字架を提げていた。
「貴様か……貴様がこの家に棲む魔女の娘………悪魔の眷属……」
「……だれ? あなたは…神父さま?」
アイリスの問いかけに男達は何も答えない。
何も答えず沈黙したまま、有無を言わさぬ威圧感を放ちながらアイリスに歩み寄る。
「ひっ……!?」
その威圧感に恐怖を覚え、小さな体をふるふると震わせ、後ずさりする。
男達は怯えるアイリスを無理矢理押さえつけ、その地域でただ一つの教会まで連れ去った。
その教会には、異教徒や悪魔に加担した者、またはその関係者を拷問するための地下室が古くから存在した。
白いローブの男達は、幼いアイリスをその地下室に閉じ込め、右足に鎖を巻き付け地下室に繋いだ。
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