暁 〜小説投稿サイト〜
dark of exorcist 〜穢れた聖職者〜
第33話「刻み込まれた記憶・1」
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―――【フランス某所・バラデュール邸宅 "ヴィクトワール本部"】



「あら、シャルル。予定通りの帰還だね…………って、どうしたんだい? その子たち」


凱旋門での任務を終え、ヴィクトワール本部に帰還したシャルルを、一人の女性が迎えた。
彼女の名は"イヴェット・シャバン=デルマ"。
ヴィクトワール所属のベテランの悪魔狩りで、シャルルの上司にあたる。

イヴェットの視界に入ってきたのは、任務から帰還したシャルルと、綺麗な銀髪の少年と少女。
少年はシャルルの背中に背負われ、少女は抱きかかえられていた。
そして、2人とも深い眠りについていた。

「あぁ、この2人は例の大鷲討伐に協力してくれた"ルークス・ソーリエ"の悪魔狩りだ。
すまないが、2人分の部屋を用意してくれないか? この2人を休ませたい」

「構わないけど、その子たちは大丈夫なのかい? 服もなんかボロボロだし……その女の子の方、顔色が
随分悪そうじゃないかい?」

「え?」

イヴェットに言われてシャルルは初めて気づいた。
抱きかかえているアイリスの表情が苦しげに歪んでいる。しかもかなり青ざめている。
寝息も不規則で荒い。

「とにかく部屋に運ぶよ。早いとこベッドで寝かせてやらないと可哀想だ。ほら、女の子はアタシが運ぶよ」

イヴェットが両手を差し出し、シャルルは眠るアイリスをイヴェットに預けた。
















―――【バラデュール邸宅・第12客室】


イヴェットはアイリスをベッドに寝かせ、子供を寝かしつけるように優しく頭を撫でる。

「よいしょ……っと。随分と顔色が悪いねえ…アタシは隣の部屋にいるから、何か欲しかったり用事があったら
すぐに呼ぶんだよ? じゃあ、またしばらくしたら様子を見に来るから、ゆっくり眠りなさい」
そう言うと、シャルルが帰ってくる前まで続けていたデスクワークを片づけに部屋を出て行った。
眠っているアイリスにイヴェットの言葉は届いていないだろうが、「何かあればすぐに行くよ」という
イヴェットの優しさが垣間見えた。
ドアが閉まり、部屋には眠るアイリス一人になった。


彼女の寝息はイヴェットがいた時よりも乱れ、不規則になり始めていた。





























アイリスは、夢を見ていた。

深い眠りにつくと、稀に思い出す過去の記憶。
夢と理解していても、過去のことだと分かっていても、震えるほど怖い。
夢から覚めると、いつも身体が震えて、涙が止まらなくなる。

そして、どうしようもなく銀髪の少年に会いたくなる。


自分を救ってくれた銀髪の
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