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銀河英雄伝説〜悪夢編
第五十四話 所詮は帽子の羽飾り
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払った。さっさと仕事を見つけるか男を見つけて結婚しろ、ガキに美人は不要だ。その所為で宮中は老人ホームかお化け屋敷かと陰口を叩かれているらしい。だからどうした? 俺は全然気にしないぞ。老人ホームなら官女達から入居料を取るしお化け屋敷なら宮中に入る人間から入館料を取るまでだ。公務員の増加と人件費の増加、これには目を光らせる必要が有る。

でも人間というのは愚かな生き物なのだ。俺の決定は軍や改革派のメンバーからは不評らしい。折角出世して宮中にも入れるようになったのに若くて美人な官女が居ないと文句タラタラらしいのだ。俺にはヴァレリーとヒルダが居るから美人が身近にいない寂しさが分からないのだとか。

馬鹿も休み休み言え。ヴァレリーはずっと年上だしヒルダは恋愛音痴の欠陥品だろう。皆遠くから見てるだけだからな、そういうのは分からんらしい。美人が欲しければ自分で揃えれば良いのだ。ただで目の保養をしようとか甘えるな。身銭切って遊ぶ分には文句は言わん、美人の居る店にでも行け。……あの官女達、ゼーアドラー(海鷲)で雇うという手も有ったな。阿呆な事を考えているとベルンハイム男爵が入ってきた。顔色が悪い、汗を頻りに拭っている。余り良くない状況だな。

「如何しました、ベルンハイム男爵」
「宰相閣下、御人払いをお願いします」
ベルンハイム男爵が邪魔だと言わんばかりにヴァレリーとヒルダを見た。こいつ、貴族だからな。男尊女卑の傾向が有るようだ。
「問題ありません。彼女達は私の信頼する部下です」

ベルンハイム男爵がチラッとヴァレリーとヒルダを見た。外してくれという事なんだろう。それを受けて二人が俺を見た。こっちは外しましょうかって感じだが俺は無視した。お前らは俺のスタッフなんだから俺の意思が最優先だろう。この程度の事でおたおたするなよ。

「如何しました、男爵」
ほら、さっさと話せよ。俺が促すと男爵が諦めた様な表情をした。
「実は、……」
「実は?」
「陛下の事なのですが……」
「……」

歯切れが悪いな。エルウィン・ヨーゼフ二世が如何した? 寝小便する癖が直らないってか。或いは夜泣きでもするようになったか。夢遊病を発症して夜中に歩き出しても俺は別に驚かんし不都合でもない。所詮は傀儡でお払い箱にするんだからな。むしろ皇帝不適格の烙印が押せるし好都合だ。

「その、陛下は……」
ベルンハイム男爵の汗が酷い、頻りに拭っているがそれでも汗が出ている。妙だな、そんな重大事が宮中に、あの幼児に有ったかな。俺にはとんと思いつかん。銀河帝国版宮中某重大事件だな、これは。

「その、陛下は……」
「如何したのです、ベルンハイム宮内尚書。陛下の事は平民の私には話し辛いですか?」
敢えて嫌味に言ってやるとベルンハイム男爵が慌てて首を振った。おい、汗が飛び散
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