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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第五話 学生生活
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 声を張っているわけじゃないのに、一番遠いこちらまで声が聞こえることに驚きつつも、俺はその子の隣にある、誰も使っていない席に向かって歩きだした。

「話しは以上だ。 号令!」

 俺が席に到着し、カバンを机に置いたところで再び号令の合図が入る。

 そこには俺も一緒に混ざり、一緒に頭を下げた。

「起立。 気を付け、礼」

「「ありがとうございました!」」

「……あ、ありがとうございました」

 タイミングが合わせられなかった俺は、みんなに遅れながら挨拶をすることとなった。

(……うん、反省だね)

 なんて思いながら、俺は椅子に座った。

 先生が教室を出ると、クラスの皆は立ち上がって各々が自由に動き出した。

「……はぁ」

 そこでようやく俺は一息、本当に大きな息を吐き出した。

 授業がまだ一つも始まっていないのに、すでに疲れ果てている。

 一息つきながら、次はクラスメイトからの質問攻めだなと待ち受けていると、

「――――黒鐘」

 いきなり左隣から声をかけられ、俺は驚きながらそちらへ振り向いた。

「えっと……逢沢さん、だっけ?」

 先ほど先生がチラッと呼んでいた苗字を思い出し、俺は突然名前で呼んできた彼女に応対を始める。

 と言うか隣の席にも関わらず、彼女は席を立ってわざわざ俺の真正面で立っていた。

 空気的に俺も立ったほうがいいのかな? と思った俺は慌てて立ち上がる。

 初日、そしてこれから世話になる人だからちゃんとした挨拶をするべきだろう。

「色々とお世話になるけど、なるべく迷惑はかけないようにするからよろし――――」

 よろしく、まで言い切る前に俺は言葉を失った。

 なぜなら俺は、急に抱きしめられたから。

「……へ?」

 一瞬何が起こったのか理解できなかった俺は、言葉を発するのに数秒の間を要した。

 だけど女の子の柔らかい感触と、心と理性を刺激する香りで状況を理解していく。

「え、えっと……取り敢えず離れよう!? このままだと色々よくないだろ!?」

 クラスメイトが全員、何事かと思いながらこちらを見つめてるし。

 このままじゃ俺だけでなく彼女まで悪い印象を受けてしまう。

「てか何で抱きついてるの!? 日本って挨拶に抱きつく文化がないって聞いてたんだけど!?」

 その言い方だとまるで帰国子女なのだが、今はそんなことにまで思考が行かず、とにかく彼女が離れることと抱きついた理由を求めた。

「ええ。 私が抱きついているのは、挨拶代わりじゃない」

「じゃあ何!?」

 こちらの問いに、彼女は上目遣いでこちらを見つめ、そして聞いてきた。

「再会が嬉しくて。 
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