暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第五話 学生生活
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 なんて思いながら俺は、窓際の後ろに座る一人の女子生徒に目を向けた。

 水色の長い髪、黄金色の瞳。
 
 前頭部に紫陽花の柄が入った和風のカチューシャと、全生徒の中で唯一表情と感情が読めないのが特徴の彼女に、俺はふとした懐かしさを感じた。

(誰だ……? てか気配とか感情が全く読めないんだけど、何かの武術でも習ってるのか?)

 魔導師や特殊な訓練を受けている人は、気配や感情の殺し方を覚えている。

 差があるからどれだけ消してもわかる人はいるけど、俺はそれを見抜ける方だと思っていた。

 少なくとも、魔法の存在しない世界の人なら全員見抜ける、なんて思ってたけど……どうやら反省しないといけないようだ。

(と言うか気配や感情が読めないのに視線が誰よりも俺のことガン見してるのが怖いんですが!?)

 無表情でガン見って言うのがなにより怖い。

 せめて感情が読めれば納得できたけど、何を思ってその表情なのか分からないからこそ怖い。

(え、どうするあの人!? 後で声かけた方がいいの!? 無視した方がいいの!?)

 表に出さないながらも、早速俺の頭の中は混乱していた。

 それこそ、アマネに助けを求めたいほどに。

 アマネよ、学生生活始まって数分ですが、折れそうです。

「それじゃ小伊坂。 お前からも自己紹介を」

「あ、はい」

 先生の声に少し驚きながら反応した俺は、深呼吸の後に声を出した。

「えーっと、小伊坂 黒鐘です。 つい数日前に海鳴に引っ越してきたばかりなんで、学校のことよりもこの街そのものが全く分からないですが、みんなの力を借りて、一日でも早く馴染みたいと思っています。 これから、よろしくお願いします」

 言い終えた勢いで頭を下げ、周囲の反応を待った。

 一応、今朝からずっと考えてきた言葉だからスラスラと言えたけど、喉はカラカラだし背中の汗が止まらない。

 それでもここが一番緊張していたことだから、重い荷物が一気に降りた感覚だ。

 同時にドッと疲れが出たのだけれど。

 ……なんて思っていると、クラスの全員が拍手をしてくれた。

 顔を上げると、みんなが笑顔で俺のことを見つめていた。

 歓迎の空気にホッとした俺は、ここでようやく笑顔になることができた。

 と、言ったタイミングでホームルーム終了のチャイムが鳴り出し、先生が終わりの言葉を述べる。

「それじゃ連絡事項は帰りのホームルームで。 小伊坂は一番後ろの空いてる席を使え。 あとは……逢沢(あいざわ)! 日直として、今日はお前が小伊坂の面倒を見てやれ!」

「はい、分かりました」

 先生が声を上げると、窓際後ろの席にいたあの子……彼女が落ち着いた声で返事をした
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