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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十二話 皇帝不予
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ブラウンシュバイク公家、リッテンハイム侯家ともに味方集めの段階で次の軍務尚書、国務尚書をポストとして提示するだろう。彼らは邪魔なのだ、生きているより、死んでくれたほうが都合がいい。そしてシュタインホフ。彼はここ近年エーレンベルク・ミュッケンベルガー連合に押されている。彼らを失脚させるためならどんな手を打つかわからない。この二人にとって、いやミュッケンベルガーにとっても状況は最悪だ。彼らにとって内乱=死だ。三人共、生死の狭間を歩いている。

「小官に何をせよと?」
「ブラウンシュバイク公家、リッテンハイム侯家の暴発を防ぎ、内乱を防ぐのだ」
簡単に言ってくれるな、エーレンベルク。

「しかし、何故小官なのです。軍務省に人はいるでしょう」
「軍務省の人間は多かれ少なかれ両家と繋がりが有る。陛下の御病状を知れば内乱を防ぐ事より、その情報を売り込んで出世をしようとするだろう。だが卿は違う」
「……」

「卿は両家とは繋がりが無い。それに出世の亡者と言うわけでもない。そして我等を手玉に取るだけの政治力も有る」
「……」
「ミュッケンベルガーは卿のことを食えぬ男だと言っておった、そして信頼できる男だとも。私もそう思う」
「買い被りです」

「そうではない。私もミュッケンベルガーも卿のことをずっと見てきたのだぞ、サイオキシン麻薬以来ずっとだ」
「……」
「このオーディンで内乱が起きれば、あっという間に内乱は帝国内に広まるだろう。どれだけの人間が死ぬ事になるのか想像もつかん。無論われらも死ぬ事になる」
「そうですね」
「救ってくれ、ヴァレンシュタイン、頼む」

「……小官はどういう立場で動く事になりますか」
「帝都防衛司令官だ」
「? しかし帝都防衛司令官は…」
「ラーゲル大将は病気療養になる」
「?」

「あれは、ブラウンシュバイク、リッテンハイムの両方に通じている。返って混乱を煽りかねん。卿は一時的な代理という形でその任につく」
とんでもない奴を帝都防衛司令官につけていたな。いやどちらか片方に通じているよりましか。だから帝都防衛司令官につけたか。

「憲兵隊、宮中警備隊を指揮下に置けますか?」
「うむ」
「装甲擲弾兵は?」
「……難しいだろうな、オフレッサーは遠征軍に同行しているが…」
「まとまりがありませんか?」
「うむ」
仕方ないな。リューネブルクを頼みにするしかないか。

「で、どうするのじゃ」
俺がやる気になったと見たのだろう。リヒテンラーデ侯が問いかけてきた。
「先ず、遠征軍を呼び戻します」
「やはり呼び戻さねばならんか」

「何時までも小官だけでは防げません。ミュッケンベルガー元帥と宇宙艦隊の力が必要です。それに…」
「それに、なんじゃ」
「もし、内乱が発生した
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