銀の煌めき 2話 濃霧に紛れて
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何を渡すのがベストかな?」
「冬休みの最初の日! ちょっと遠出してなんか買いに行くよ! その日ならいいでしょ!」
ずいっと、帝斗に迫り、不満度最大の表情でそう言った。
「わ、わかったわかった。そうしよう」
「じゃあ、その日の前にうちの周りの悪魔を片付けておこ!」
「そうだな、留守にしてる間に何かあっても困るしな」
電車は、気づくと高校前の駅に到着していた。いつ出発したかも気づかなかった。それくらい、帝斗にキレていたのだ。
「もう着いたねー」
「よし、降りるか」
私と帝斗が立ち上がると、エナメルパーカーの男が、帝斗に近づいてきた。
「………した………だ」
帝斗に何か一言囁いて、エナメルパーカーの男は電車を降りて行った。私は断片的にしか聞き取れなかった。
「兄さん、知り合い?」
「あぁ、まあな、…おっと、降りるぞ」
電車が出発しそうだったので、私達はいそいそと降りた。
「あいつ、いや、あの人はアイズ氏だ」
「え、そうだったの?」
てっきり男と思っていた人は、帝斗の剣の師である、アイズ・ノルタティヴだった。アイズは女性にしては肩幅が広く、身長も高い。フードで長い髪や目元が見えなかったので、全くわからなかった。
「で、アイズさんが、なんて?」
「今日の23時に駅に来い、ってさ。あ、梨桜も来いって」
「え、あ、まぁ明日休みだしいいかな」
私達は、話しながらもプラットホームから出て、改札を潜り、外に出た。さすがに、ここは社会人や、高校生などが行き交っている。とは言っても、都会とは言い難い人の数ではある。
「兄さん、今日の夜は志倶覇さんに合うんじゃなかったの?」
「ん? まあそうだけど、19時からだし間に合うだろ」
「間に合えばいいけどね」
「志倶覇は話しが長いもんなあ、まあでも今日はそんなに時間取らないって言ってた」
「だったらいいけど」
「おーい、梨桜ちゃーん」
後ろから、名前を呼ばれた。振り返ると、茶髪で小柄な同級生の姿があった。
「おはよー、神崎さん」
「だーかーらー、真央って呼んでよ〜、みおってさ〜…あ、霧真先輩おはようございます!」
真央は、帝斗に気づいて挨拶をした。
「おはよう、神崎」
「霧真先輩、冬休みの練習は行けそうですか?」
「あー、行けても29、30、31くらいかな、他の日は難しいと思う。まあ、行ければ行くよ」
「ほんとですか! その時はよろしくお願いします!」
真央は目を輝かせてそう言った。
実は帝斗、休み休みではあるが、弓道部に参加していたのだ。そして、どうやらかなりの腕があるとのこと。射法を教えるのも上手く、後輩からはとても慕われている。
「じゃあ、私は先に行ってるね」
「う、うん、じゃあまた後で」
真央は、そう言うとさっさと駆け出し
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