暁 〜小説投稿サイト〜
リリなのinボクらの太陽サーガ
スカルフェイス
[4/18]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
寒いわね」

療養している部屋のベッドから身体を起こしたプレシアは、老化を実感しながらもガウンを取りにクローゼットを開け、それを上に羽織る。さっきより寒さが遮断されて、身体が少し温まった。カーテンを閉めていたせいで今まで気付かなかったが、外では霧が発生していた。寒さの原因は恐らくそれだろうと見当をつける。
とにかくこれなら心地よく眠れると思い、プレシアは少し大きめのベッドの方へ身体を向ける。規則正しい呼吸を繰り返しながら寝ているアリシアの寝姿にプレシアは母としてほっこりと余生の幸せを堪能する。そしてもう一人の娘であるフェイトは仕事で怪我していないかと思うが、自分の娘なのだから大丈夫だと信じていた。

「ふふ……こんな幸せがいつまでも続けばいいわね。でも私も歳だし……そろそろ彼の後を追うのも近いかしら」

いつ逝っても大丈夫なように、娘二人に伝えるべき事は全て伝えてある。後はこの生活をできるだけ長く続けられるように願っていた。

しかしそれは叶わぬ願いだった。

「幸福な時間はここまでだ、博士」

「な―――かはっ!?」

真っ暗闇の廊下から突然聞こえてきた声と共に何かが刺さったような感覚の後、プレシアは喉元から急に不快な違和感が生じ、それは瞬く間に全身を覆ってしまう。途端に病の発作を上回る痛みに襲われ、更に身体中の力が抜けてその場に崩れる。

「あ、……なた、何をし……!?」

辛うじて出した質問には誰も答えず、廊下から現れた“影”は4体の髑髏を率いて音も無く入って来た。プレシアはせめてアリシアだけでも逃がそうとするも、身体は彼女の意思に全く従わず、躯のように倒れたまま動けなかった。

「ッ!? な、なにこの化け物!?」

悪寒を察知して飛び起きたアリシアだが、すぐに髑髏4体が超人的な力で取り押さえ、身動きが取れなくなってしまう。しかし彼女の意識があるのなら逃げられると思い……プレシアはあらん限りの力を振り絞って叫んだ。

「逃げて、アリシア!!」

「ママ!? ッ……ごめん、精霊転――――」

ズドンッ!

「うあッ!! 痛い! イダイィッ!!」

“影”が撃ったライフルの弾はアリシアの腹部を抉り、彼女に甚大な苦痛を与える。のたうち回りたい程の激痛を受けながらも、髑髏に全身を押さえられているせいで身動きが出来ず、悲鳴で苦痛を訴えるしかなかった。だが……地獄はまだ続いた。

ズドンッ! ズドンッ!! ズドンッ!!!

「あぐぁ!! うぇだぁ!! いぎぃあ!!」

何度も何度もライフルで撃たれ、その度にアリシアから出血と悲鳴が湧きあがる。精霊として転生した彼女の身体には、死の概念が存在しない。しかし……そのせいで彼女は死で痛みから逃れる事ができなかった。

「やめて……もうやめて
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ