暁 〜小説投稿サイト〜
リリなのinボクらの太陽サーガ
スカルフェイス
[13/18]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
性があった。そして生み出した“虫”は二つ……一つは肉体と精神を支配するウイルス兵器としてバラ撒く“虫”。もう一つは感染者を変貌させて力を与える“虫”」

前者はSOPのように注射する必要がなく、相手が無自覚のまま生殺与奪を得られる。後者は感染した人間の自我を奪い、髑髏のように意思の無い兵器にする。ヴァランシアが色んな世界から人間を拉致したのはその虫の効果を実験していたからで、さっきの部屋の死者達はその実験の犠牲者であった。

「管理局はまんまと喰い付いた。自分達の権威をより強固で完全なものとするために、『世界浄化虫』を完成させることを求めた。彼らはリンカーコアの有無を識別し、母語をミッド語に書き換え、強制的かつ本能的に従わせるコードを組み込むことを望んでいた。更にそれを知った聖王教会の一部勢力は私にこういった研究開発を行う場所を提供する対価として、聖王というただ政治に利用されただけの女を信仰するコードを入力するように言ってきた」

「魔導師の素質があれば、本人の意思に関わらず管理局に取り込む。それ以外の人も管理局に抵抗する意識を持てなくなるってことか。しかも洗脳まがいの方法で聖王を信仰させる。相変わらず次元世界の人間はどこまでも自分勝手だ……でも母語を書き換える意味は一体……?」

「言葉とは……奇妙だ。言葉が変わると、人も変わる。性格、ものの考え、善と悪……私のように戦争で“外見”を変えられるよりも深く。言葉は人を殺す。その世界に生まれた自由を殺し、歩んできた道を殺し、進むべき道を殺す。人々はその時代に殺されたまま生かされる。そして世界は“ゼロ”になる。管理局と聖王教会はただ効率的に支配するための、便利な武器としか思っていない。彼らの言葉を奪えば、内側から支配できるとな。だから安易な思考のまま、私に力を貸す。それは諸刃の剣として自分達を襲う可能性がある事に気付かずに」

「?」

「既に見抜いているだろうが、私はアンデッドだ。生前の自我が残っている理由は不明だが、記憶に損耗が生じないのは都合が良かった。さて……もし“虫”のコードに吸血変異を組み込んだら……果たしてどうなると思う?」

「感染した全ての人間が……アンデッド化する?」

「半分正解だ」

「半分?」

「変異したとはいえ、“虫”に暗黒物質を運ぶ能力は備わっていない。そして暗黒物質が無ければ、吸血変異は完全に働かない。その状態で変異を起こそうとすれば、アンデッド化とは別の変異を起こす事になる。例えば不死に近い再生能力を備えていながら、破壊衝動が暴走して狂戦士になったりな」

「再生能力……? まさかエクリプスウイルス……?」

「しかし私はイモータルの手は借りたが、全ての人類を変異させる事は本意ではない。銀河意思の目的は銀河の存続。それが確約されて
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ